内容説明
日本の誇る映画監督・小津安二郎がその人生と創作の秘密を語る。戦時中に中国から友人・知人に送った貴重な手紙も収録。
目次
1 僕は映画の豆監督(処女作前後ライス・カレー;小津安二郎芸談 ほか)
1 映画に“文法”はない(映画に“文法”はない;映画の文法 ほか)
3 酒と敗戦(戦地で憶う戦争映画;秋晴れの戦線に ほか)
4 戦地からの手紙(中国行;戦の野より ほか)
5 映画への愛情に生きて(映画界・小言幸兵衛―泥棒しても儲ければよいは困る!!;僕は古いもので… ほか)
著者等紹介
小津安二郎[オズヤスジロウ]
1903年東京生まれ。映画監督。1923年松竹蒲田撮影所に撮影部助手として入社。1927年「懺悔の刃」にて監督デビュー。日本映画史に残る数々の名作を作り出す。1958年紫綬褒章受章。1959年芸術院賞受賞。1962年芸術院会員に選出。1963年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
魚京童!
11
だったら映画作るなよ。2015/05/11
あきあかね
6
黒澤明と並ぶ日本映画の巨匠、小津安二郎。黒澤が「動」の監督とすれば、小津は「静」の監督と言える。小津の映画では、大きな事件というものは起こらず、娘の結婚と独り残される親といったテーマが繰り返し現れる。本書の表題は「たまにゃ、変わったもの作ったらどうだい」という人に対する小津の返事である。トウフ屋に「カレー」だの「とんかつ」などを作れといっても、うまいものが出来るはずがない、と彼は応える。 そんな小津の映画は、激しい感動をもたらすことはないが、静かにしっとりと心に染み入っていくような感慨をもたらす。⇒2018/12/06
踊る猫
5
「作らない」である。「作れない」ではない。この言葉に小津なりの痩せ我慢(?)というか意地を見出すのは早計に過ぎるだろうか。しかし従来の映画的文法を無視して、前衛的になるというのともまた違ったポジションを獲得して小津ワールドを築き上げた彼の言葉は、自分の出来るだけのことをやり抜こうというプライドが感じられる。戦時中の記録などを読んでいると小津はむしろ好戦主義者だったのではないか……と危うく感じられるのもまた事実で、そのあたり惜しいと思った。小津なりの戦争の総括を収めるべきではなかったのかな、と。面白いのだが2016/06/18
Lily ※amazon不買運動中
3
良著。「一寸戦争に行ってきます。」には笑った。やはり小津安二郎は志賀直哉的な映画を考えていたか。映画文法なんか無視、という気骨。「生まれてはみたけれど」の結末に戦後否定的だったというのは迫るものある。包み込む愛が出てきたのか。ひとつひとつ、工夫を凝らした技術の先に「東京物語」があるのだ。演習を重ねられた黄金期が羨ましい。ユーモア溢れるエッセイ集。魅力的な人だ。こんな人になれたらと思う。2021/07/16
Masami Yamashita
1
ちょっと下から仰ぐようなカメラ位置の秘密が分かりました。生活の知恵だったのか笑 「映画ってのは、あと味の勝負だと僕は思ってますよ(中略)椿事はなしに、「そうかい」「そうだよ」「そうだったんだよ」てな調子で、なんとかうまく話ができないものかと僕はかんがえてるんでねえ。」小津映画を観終わったあとの余韻はこういうところから来てるんだなと思いました。2018/02/22
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