内容説明
戦後から現代までに培われた日本の社会福祉分野における研究蓄積の中から、重要論稿を精選・収録。社会福祉研究のエッセンスがここに集結。
目次
第1部 戦後貧困問題へのアプローチ(1)―社会階層と生活構造(社会福祉の対象;貧困の類型;貧困研究の視角)
第2部 戦後貧困問題へのアプローチ(2)―ボーダーライン層の議論(ボーダーライン層の生活構造の研究;ボーダー・ライン層の設定に関する作業仮説;ボーダー・ライン層と家計費;低所得階層の社会福祉的分類)
第3部 最低生活と保護基準(生活と貧困;生活保護基準引上げ論;社会保険の最低基準;「最低限度の生活」の規範)
第4部 貧困地区(上野・葵町;上野・葵町移転について;社会福祉の圏外の人々;家族構成からみた仮小屋部落の生活;児童の地域生活をめぐる家庭と児童福祉従事者の問題状況(その1))
第5部 現代における貧困論の多様な展開(現代の貧困の特徴;貧困の性格変化と社会生活の困難さ;「最低限の生活水準」に関する社会的評価;バスに鍵はかかってしまったか?)
著者等紹介
岩田正美[イワタマサミ]
1947年生まれ。1971年、中央大学大学院経済学研究科修士課程修了。大阪市立大学生活科学部助手、東京都立大学人文学部教授を経て、日本女子大学人間社会学部教授。博士(社会福祉学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆう。
12
日本の貧困研究について、戦後から今日まで大切な論文を集めたものです。江口英一先生の社会階層論やボーダー・ライン層研究などは、時代的には1970年代など古いですが、今日の貧困研究の土台となるものだと思いました。また現代の貧困論の多様な展開では、社会的剥奪論と社会的排除論が取り上げられていますが、どっちが正しいというわけではなく、階級論をおさえたうえで整理して考える必要があるのではないかと思いました。特に、今日の貧困論がイコールで社会的排除論となっている部分もあり、注意する必要があると感想を持ちました。2014/05/28
ブルーツ・リー
3
福祉国家論の理念にも賛同できるのだが、その理念を実現する政策に、ちょっと無理があるような気もしている。 貧困は悪であるとするのは分かるのだが、それを根絶するために、所得が一定水準に満たない人「全て」に、「恥ずかしくないだけのお金を配る」事が解決方法というのは…。 現在の生活保護でも、200万人に、健康で文化的な最低限度の生活、を保障するのに、3兆円予算がかかっている状況で、上記条件でお金を配ったら、一体いくら予算が必要になるのか。 貧困世帯は、数えようによっては1000万人規模にも達する訳で…。2022/05/16
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