内容説明
その荘厳な響きと、時代を超越した深い精神性で、近年とみに人気が高いオーストリアの大作曲家ブルックナーの交響曲は、一方で当時の様式とかけはなれていたがゆえに、周囲の人間または本人の手による改訂が全体の半分におよぶ作品について行われた。それゆえ「稿」「原典版」「改訂版」の問題が常に演奏の現場、そして聴衆の側につきまとっているのである。評論家、指揮者、そして放送の解説者として長年にわたりブルックナーにかかわってきた著者の評論は、具体的な事例を挙げながら、明快な視点で〈1番〉〈4番〉〈9番〉など主要な交響曲について楽譜と演奏の問題の両面から分析している。〈5番〉〈7番〉〈8番〉では、日本が誇る世界的なブルックナー指揮者である朝比奈隆氏との対談も収録されている。
目次
第1章 作品論
第2章 朝比奈隆との対話
第3章 演奏論
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
千葉さとし
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コンサート前の予習にと、昔読んだ本書を再読した。豊富な譜例からもわかるように、「楽譜を音にする」という演奏をする立場の視点から、ブルックナーの音楽について考えるスタンスの本書は、演奏経験のある凝り性の人(笑)なら面白く、かつ勉強になるはず。朝比奈隆との対談も内容のあるもので、大いに参考になる一冊。2011/06/15
NyanNyanShinji
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同曲異版の鬼ネコケンさんによるブルックナーの交響曲に関する本。シャルクやレーヴェといったブルックナーの弟子たちによる改訂版から、ハースやノヴァークによる複数の原典版に関する熱い比較は期待通り。その上で研究をし尽くした著者による各版の歴史的背景や各版の長短の論議がこの本のキモ。もちろんカットが多く厚化粧のオーケストレーションの改訂版についてはほぼ全否定だけど,なぜフルトヴェングラーや部分的にでもテンシュテットたちが改訂版の名残を残す譜面を使ったか?の推理も面白かった。ヴァントへノンインタビューも秀逸だった。2024/08/23
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