内容説明
第二次大戦下、約1200人のユダヤ人をナチスによる虐殺から救ったオスカー・シンドラー。映画『シンドラーのリスト』によって世界的に知られるようになったこの救出劇の一部始終を、唯一の生き証人である著者が回想する。極限状況における勇敢な行動と知的な抵抗を描く、比類なき歴史の証言。
目次
平和の時代のクラクフ―一九一八年から一九三九年まで
奇襲
ゲットーで
アーモン・ゲートとオスカー・シンドラー―クラクフ‐プワシュフ収容所
生産表のトリック
ゲルハルト・マウラー裁判での思いがけない出来事
プワシュフが強制収容所になる
好対照の大量殺戮者と救済者
シンドラーのリスト―その知られざる前史
プリュンリッツ解放
ユダヤ人のいないクラクフへの帰還
改悛の情を見せぬ殺人者たち
私たちはなぜ思い出さなければならないか
イザーク・ステルン報告―ヴィクトリア・ハートリングによる補論
著者等紹介
ペンパー,ミーテク[ペンパー,ミーテク][Pemper,Mietek]
1920年クラクフ生まれのユダヤ人。1943年以降、ユダヤ人としてクラクフ‐プワシュフ収容所にあって、収容所司令官直属の速記者を務め、英知の限りを尽くしてシンドラーとともに救出への道を探る。現在、ホロコーストの語り部として、各地で講演活動を続けている
下村由一[シモムラユウイチ]
1931年生まれ。千葉大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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テツ
15
プワシュフ強制収容所の所長アーモン・ゲートに書記として仕えたユダヤ人である著者。ゲートと親交があり戦中にユダヤ人たちを大量に救ったオスカー・シンドラーを当時間近に目にして『シンドラーのリスト』の原作に協力した彼が体験した収容所の姿。ギリギリの切羽詰まった時代にこそ人間は極地に至る。きっと善悪って後の人々によってジャッジされることだろうからその瞬間に自分がどちら側に足を踏み入れているかなんて解らないんだろうけれど、できればゲートではなくシンドラーになれるように生きていたい。2020/06/03
Francis
13
著者は映画「シンドラーのリスト」の原作に協力したオスカー・シンドラーが救出した1200人のユダヤ人の一人。シンドラーについての記述よりも著者が書記として仕えたブワシェフ収容所所長アーモン・ゲートについての記述が多い。「シンドラーのリスト」の原作は著者キリーニー氏自身「ノンフィクション小説」との位置づけなので「シンドラーのリスト」はどこまで真実なのか最近は懐疑的だったがこの本を読んでやはりほぼ真実であることが理解できた。狂気の時代に1200人のユダヤ人を救ったシンドラーの勇気に改めて敬意を表したい。2020/04/29
たつや
5
スピルバーグの映画は未見です。公開時は白黒映画で暗く、つまらなそうと思いスルー。こんなに凄い作品だったなんて!ビデオで今度観たいな。強制収容所でユダヤ人を1200人助けたドイツ人の話は、実話でした。2022/09/23
和泉花
2
大変な時代の時に輝く人がいる2024/01/19
Arte
0
強制収容所の所長秘書として、こっそりスパイ行為を働いていた利発な若者ペンパー氏は、いわゆるユダヤ人の典型像的な感じがした。2012/07/19