内容説明
2073年、イギリスは国王の退位により、共和制国家となる。2100年には人類が絶滅し、世界は終焉を迎える。『最後のひとり』は『フランケンシュタイン』の作者メアリ・シェリーの、21世紀末を舞台とする予言的、黙示録的未来小説である。また、ロマン派の詩人、P・B・シェリーやバイロンとの波乱万丈の人生に基づく実話小説としてスリリングである。
著者等紹介
森道子[モリミチコ]
大阪大学大学院博士課程修了。大手前大学教授
島津展子[シマズノブコ]
神戸女学院大学大学院文学研究科修士課程修了、大阪学院大学外国語学部教授
新野緑[ニイノミドリ]
大阪大学大学院博士課程中退。博士(文学)。神戸市外国語大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
寝猫
31
『フランケンシュタイン』を書いたメアリ・シェリーの作品。 疫病が拡がり人々が死んでいくという話し。コロナが流行りもう一度読みたくなりました。 彼女自身が子供や旦那さんを失っているためか喪失感がリアルでした。 それにしても、バイロンと同年代だという昔の女性でありながら、描く作品が凄すぎる。 どんな人だったのかな。2022/08/18
きりぱい
10
終末ものかと思ったら、共和制だとか普通にイギリスだなと思い、でも読み進めるとなんか変。いつの時代なんだ?と、結局終末もので21世紀末が舞台の架空の話なのだった。王の息子と王の親友の息子、そしてそれぞれの美しい妹が織りなす運命と前半は面白い。パーディタとレイモンドがちょっとだれる。戦争、疫病と、国を想う政策も熱意も疫病の前にはどうしようもなく、気がつけばひとり。どこかで生きている人がいるかもしれないけれど、それまでは記録し、世界中の図書館を巡ろう、と。序で記録を見つける「わたし」と本文の「わたし」は違った。2015/11/04
沙織
6
疫病に怯え逃れようとする人々。でも逃れられない。誰が、いつ、どのように感染する? 今だと原因を究明し治療法を探す人々の戦いの物語になるだろう。だけどこの物語で人間はなすすべがない。疫病の感染を恐れる気持ちが、自身が最後のひとりになることへの怯えに変わる。その姿は父、夫、3人の息子を亡くした著者へ重なる。1人息子を育てる為、執筆で生計を立てたたくましい女性。だが、この本には彼女の孤独や葛藤が随所にみられる。メアリー・シェリーさん、もっとあなたを知りたいです。2018/11/26
黒崎ディートリッヒ
2
21世紀末の未来。ギリシアとトルコの戦争後、急速に世界中に広まった原因不明の疫病が、徐々に人類を滅亡へと追いやる。その中で主人公は地球上の「最後のひとり」となりつつあった。 『フランケンシュタイン』のメアリ・シェリーが書いた物語。ウィキペディアによるとこの文学小説がSF小説の「終末もの」ジャンルにおける元祖という見方もあるそうですが、SFっぽくはないです。むしろセカイ系に近い。 昔の未来予想的物語だからといって、突拍子もない奇怪な設定はなく時代的な雰囲気としては、シェリーが生きた19世紀と変わらなかった。2014/03/31
福嶋洋一郎
1
長い小説だった。フランケンシュタインの作者が書いた世紀末小説と言っても良いかもしれない。疫病で人類が死に主人公がひとり生き残るという話。当時は、やはり疫病が人類の最大の敵ということなんだろう。今で言えば、偶発的な核戦争の結果なのかもしれない。当時の常識として知っていなければいけないであろう比喩が多用されており難解な文章だった。2018/09/15