内容説明
双子の取り違い、ヒロイン・支配者の変装、ベッド・トリック、佯狂、観客だまし、マルティ・ディスガイズなど、シェイクスピアの多彩なディスガイズを、自己表象を巡る本質論と構築論から、イギリス演劇の伝統の中で系統づける。
目次
第1部 序説(シェイクスピアのディスガイズ概説―男装するヒロイン・変装する支配者とその背景を中心に;シェイクスピアのディスガイズと自己表象の変遷)
第2部 作品論(ディスガイズとしての「人違い」と家父長制―『間違いの喜劇』論;ジューリアのディスガイズと偽り、演技、求愛儀礼―『ヴェローナの二紳士』論;ケイトの「ディスガイズ」と両性具有―『じゃじゃ馬ならし』論;「不調和の調和」―『ヴェニスの商人』における理想のヴィジョン;ディスガイズによる王の二つの身体の調和―『ヘンリー五世』論 ほか)
著者等紹介
細川真[ホソカワマコト]
1949年生まれ。愛知教育大学卒業、広島大学大学院博士課程単位取得退学。愛知工業大学を経て、現在、中京大学大学院文学研究科英文学専攻及び国際英語学部英米文化学科教授。1985~86年英国バーミンガム大学シェイクスピア研究所にて在外研究
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感想・レビュー
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ヴェルナーの日記
220
本書では『ディスガイズ(disguise)』について論じる。意味は変装させる・扮装させるとか、隠す・偽る・隠蔽する。変化させる・偽装させる等の意味がある。本書において『ディスガイズ』とは狭義の意味で、役者が役を演じること・役に扮装することであるが、広い意味では人が何かを装うこととしている。例えば、個人には様々な顔がある。家庭内での顔や学校・会社等での顔。また親に対する顔、子供に対する顔・妻や恋人に対する顔など、TPOによって意識・無意識に関わらず使い分けている。これも『ディスガイズ』として論じている。2021/09/08
asaXD
1
論が先行しがちで一部強引に感じる部分もあったが、登場人物のアイデンティティについてディスガイズという視点から見ることは面白かった2010/06/12