出版社内容情報
ついに魏と呉は総力戦に突入した。
まず魏軍の張遼・楽進と呉軍の甘寧・凌統とが戦い、次の日は曹操が軍を五手に分けて呉陣に向かう,両軍入り乱れての大激戦のさなか、長江を遡ってきた陸遜軍が上陸して魏軍に斬り込み、魏軍は逃げまどった。
両軍とも戦に疲れ果て、和睦が成立する。曹操は都に帰ると魏王を名乗り、鄴郡に魏王宮を建てた。その祝宴のため、孫権は温州の蜜柑を都に運ばせるが左慈と名乗る奇妙な老人が現れる……。
目次:
総力戦/奇怪な老人/仙術/平原の神卜/予言/新春十五夜/風雲/陣前の美酒/瓦口関/間道/老将/驕兵の計/定軍山/定軍山攻防/人質交換/敵陣を望む
〔付録〕
三国志関連地図
諸葛三千人の村 武田一顯(元TBS北京特派員)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どぶねずみ
37
突然現れた左慈という仙人に惑わされる曹操。占いに頼って自分を見失いつつあるのかと思ったが、占い師のアドバイス通りに世が動いたことには驚いた。この巻は老人の巻と言えるほど、ベテラン将の活躍が目立った。それも孔明の信頼がある武将たち、孔明の言うことに従っていれば失敗しない空気が大きい。敵将にとっては、それも油断させたのだろう。孔明は何でもお見通しである。2020/03/29
黒猫
14
張飛の知略が冴え渡るこの回。劉備、諸葛亮共に張飛を信頼し漢中に配属する。これに対して曹操は大軍を寒中に派遣する。曹操きっての名将である張コウの扱われように泣けてくる。張コウさんってこんな部将だったっけ?と混乱しつつもとにかく張飛の知略の前に敗走する。張飛の後は老将黄忠の登場である。曹操は更に許都から夏侯淵を送り出し漢中の攻撃にこだわるが定軍山で黄忠に討たれてしまう。この回は劉備の配下が躍動する。まさに五虎大将軍達の活躍がみられる。しかし時代は呉に陸遜、魏に司馬懿の顔も見られ新たな時代へ向かう気配も感じる。2020/01/26
Cinejazz
11
魏と呉は戦いに明け暮れ、両軍とも疲労困憊し和睦します。魏王名乗った曹操は、魏王宮で管輅公明(かんろこうめい)という占い師を招き入れます。この管輅に纏わる逸話が、田中貢太郎の短編『北斗と南斗星』で取り上げられていたことを思い出し、この老師に近親感を持ちました。曹操からの褒美を辞退し、魏王宮を静かに去って行く管輅の後ろ姿には、一抹の寂しさを感じました。この頃、魏軍と漢中に集結した蜀との戦いが勃発します。蜀の張飛、老将の黄中や厳顔らの活躍目覚ましく、魏軍の将は漢水へと落ちのびていくのでした。2020/05/12
0607xxx
11
曹操を翻弄する左慈や戦の最前線で活躍する黄忠など、老人が大活躍する19巻。左慈の人を小馬鹿にしたような態度が印象深く面白い。蜀軍に追い詰められ、逃げ続ける魏軍。次巻へ続く…。2018/11/25
ポスト丸山眞男・寺
11
うーん、面白い。孫権はこてんぱんにやられ曹操と和睦。この後、左慈という仙人が都で曹操をコケにしまくる。これが面白い。続いてスーパー占い師登場。彼の予言で謀叛鎮圧。漢中では曹操軍vs劉備軍。いつもは猪武者の張飛の見事な知略。続いて出撃するのは黄忠&巌顔の老人コンビ。このコンビがまた見事。強い。私は黄忠贔屓だ。そして快進撃の劉備軍団は、漢中平定を決定。満足の一巻。しかしこの文庫の解説はネタバレが多い。2012/01/12