出版社内容情報
今に生きる望郷の詩人,室生犀星――限りないやさしさをこめた動物詩集,故郷への熱い想いと愛をうたう抒情小曲集,愛の詩を収載。 小学生中学年から
内容説明
みずみずしい詩情・美しいことば。いま甦る望郷の詩人、室生犀星の美しくせつない抒情詩の珠玉。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
masa@レビューお休み中
91
以前読んだ『室生犀星詩集』が好印象だったのに対して、今回のこの詩集は…よく理解できないと思ってしまいましたね。まぁ、詩って理解できないものが多いし、そこに必ずしも意味とか、目的を考える必要はないんですけどね。それにしても、「抒情小曲集」「愛の詩集」と同じ詩集から選んだものがあるのに、編集者が違うだけでこうも内容が変わるものなのですね。おそらく、「動物詩集」が手強かったから、その印象が強いんですよね。頭が柔軟になっているときに、もう一度読んでみると印象が変わりますかね。2015/10/31
田中寛一
10
昭和18年に「生きもののいのちをとるな」と歌った犀星の声は、当時の人にどんなに響いたのだろうか。虫や魚や鳥にだけ歌ったのではあるまい。人への「生きものはかなしかるらん」ではないのだろうか。〈鯛のうた〉で「お祝いの日にはさっそく出て来て、/いばりかえってお皿の上でねている。」という、鯛へ向けた言葉も誰かに当てはまるのだろうか。〈小景異情 その二〉の「ふるさとは遠きにありて思うもの/そして悲しくうたうもの」、〈月草〉の「秋はしずかに手をあげ/秋はしずかにあゆみくる」いい。2013/06/21
清少納言
9
東京には空がないと、かの智恵子氏は言ったそうだが、犀星氏は雲がないと言う。故郷を持たぬ私などは、窓辺から額縁のある空を眺めて、これもまた一興などと思う。東京における激しい郷愁は、フランクフルトでのハイジのようだ。巻末の略年譜では、生涯の友となった萩原朔太郎との出会いや印象が抜粋記事として出ており、興味深い。「曙光をめざして」が良かった。2014/06/25
新田新一
8
『抒情小曲集』の一節「ふるさとはとおくにありて思うもの」で有名な室生犀星の詩集。前半に収められている子供向けの『動物詩集』は初めて読みました。どの詩にも流れている素朴な情感が好きです。故郷の金沢を離れて東京で暮らしている時の望郷の思いが自然な形で表現された『抒情小曲集』は、何度読んでも飽きることがありません。日本語の美しさと、日本語の中にある音楽性を味わうことができます。2023/07/14
ほんどてん
4
「動物詩集」を読んで、他の作品も読みたいと思い手に取りました。前半は動物詩集が綴られているのでまた再読することができました。「かもめ」という詩が好きです。その一節に「……この都にこういう景色が終日くりかえされていることをわたくしは知らなかった」というところ、私も気付かされ、確かに共感しました。2022/01/06