出版社内容情報
梢がおばあちゃんからあずかった葡萄色のノートには、戦前朝鮮半島に渡った少女すずの手記に始まり、5人の少女の喜びや悲しみ、亡き父への想い、朝鮮・韓国への愛が書き綴られていた。
小学校高学年以上向き
内容説明
葡萄色の古い革表紙。もとは赤だったのかもしれないけれど、このノートの上を過ぎていった年月が、それをこんなふしぎな色に変えたのだ。なにか粛然とした気分で、梢はしばらくその表紙に見とれた。そしてスタンドを灯し、机の上にそれを広げた…。なつかしい朝鮮への想いを、いま、正確に伝えたい。
著者等紹介
堀内純子[ホリウチスミコ]
韓国に生まれる。京城第一高等女学校卒業。『はるかな鐘の音』(講談社)で野間児童文芸推奨作品賞受賞。『ルビー色の旅』(講談社)で野間児童文芸賞受賞。『ふたりの愛子』(小峰書店)で赤い鳥文学賞受賞。同人誌『ひまわり』同人。静岡県在住
広野多珂子[ヒロノタカコ]
愛知県に生まれる。スペインのシルクロ・デ・ベージャス・アルテスに学ぶ。帰国後、児童書の世界にはいる。埼玉県在住
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感想・レビュー
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はる
57
14歳の梢は、誕生日に祖母から韓国への一人旅と、古びた葡萄色のノートを贈られる。そのノートは曽祖母が14歳の頃の書いた日記から始まる、大叔母や祖母など、自分の親族が代々同じ年頃に描いた日記集だった……。14歳で韓国に渡った曾祖母。激動の時代、日韓の間で揺れる少女たち。日本人が韓国の人にしてきたことは何だったのか。作者の堀内さんの両親をモデルに、自身の結核療養の体験も織り交ぜた作品。作者の韓国に対する強い想いが感じられる。いわゆる韓流ブーム以前に描かれたものだが、韓国との関係を考えさせる良質の作品。2023/11/08
ミネチュ
0
児童書です。中学生の梢はおばあちゃんがソウルの生まれであったことを知ります。そして、梢の曽祖父は朝鮮に植林をする技師だったのでした。 日本の朝鮮支配の問題は非常に難しいです。梢の曽祖父のように良いことをした日本人もたくさんいます。でもそれをもって韓国に対し、日本は良いこともしたと言ってよいのだろうか。一方で、善意をしたことまで捻じ曲げて受け取られたのをそのままにして謝るのが本当によいのだろうか。 児童書ですが、日本の植民地支配について考えさせられます。2025/07/06