出版社内容情報
国家と歴史を裏から支配した「宦官」。人類史上最も奇怪な存在の全貌!その肉体と生理、異常心理、謀略などを描ききった驚愕の書
“性器切除”という恐るべき処置を施された存在――宦官。かれらは中国歴代王朝の後宮深くに棲みつき、あるときは皇帝をひざまずかせ、皇后や后妃たちをたぶらかし、そしてあるときは軍や秘密警察までも掌握した。国家と歴史を裏から支配した「宦官」の実像を、その肉体と生理、異常心理、野望、謀略など全角度から描き切った驚愕の書。
内容説明
「宦官」こそが中国史を読み解く鍵である。すべてが驚愕!国家と歴史を裏から支配した知られざる実像。もはや男ではなく、女にもなりきれぬその肉体と生理、異常心理、野望、謀略…
目次
序章 中国史を読み解くキーワード
第1章 異常心理と病的行動
第2章 歪んだ集団力学
第3章 屈辱の「中性」奴隷
第4章 どちらが最高権力者か―皇帝と宦官
第5章 後宮の闇の中で―后妃と宦官
第6章 不倶戴天の政敵―官僚と宦官
第7章 乗っ取られた統帥権―軍隊と宦官
第8章 暴走する秘密警察―司法権と宦官
第9章 なぜ増殖し続けたのか
第10章 知られざる業績
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
吉野ヶ里
24
性器を切除した宮仕えの人。幼児期に去勢されるとヒゲが生えない、声が細くとがるなど、中性的になるらしい。肉体的痛手の影響と家庭的痛手の影響とで、孤独で偏執的、冷酷で猜疑心が強い。子孫を残すことが重要視される儒教社会では軽蔑された。そのため、宦官同士は自己防衛のため集団主義をとる。集団となる手段は主に二つで、養子か師弟関係。上下関係が絶対的だった。ほとんどの宦官は奴隷身分であり、ほんの一部だけが支配層として権威を振るった。実務能力で出世したものは少なく、媚びへつらいが主な出世の道だった。上に媚び、下に厳しい。2016/06/23
ぽっぽママ
15
美貌で頭が良くてよく気が利く人ばかり集めたら平穏なわけがない。中国の歴史って思った以上に皇帝がお飾りで母后と外戚、官僚、宦官の勢力争いだった。良くも悪くも宦官の力の大きいことビックリでした。2017/03/07
isao_key
12
原題は『霧横帳牆<古代宦官群体的文化考察>』で、2000年に一度刊行されている。朝廷の国策決定や政務処理に口をだし、当時の社会、軍事、経済、文化など各方面に深刻な影響を及ぼした宦官は、中国史を理解する上で、重要なファクターであるという。本書は、宦官について各方面から考察した研究書である。全10章で構成され、1、2章では宦官における肉体の変化、精神の歪み、それに伴う異常行動を、3章では宦官が生まれた背景を、4章以下では、宦官についての具体的な話を紹介している。10章では、宦官の知られざる業績について述べる。2016/03/14
櫛部晃季
8
中国の歴史に関する物を読むと数字が大きすぎて想像の範疇を完全に超える。宮妃が3万人とか宦官が9万人とか、その数の人間と付き人が住める宮殿ってどんな大きさだ?? 色々な話や歴史的背景が丁寧に書かれていて、想像していた通りの宦官像と、全く違った宦官の姿と多種多様に見れて面白い。 宦官が刑罰を受けた人間ってのは知っていたけれども、自ら切除手術を受ける人も居たと云うのは驚き。経済的な事情がそれの後押しをするのは古今東西何処も同じなんだなと。多くの人間が集まる場所での問題も同じ。 女性の性的能力を奪う方法も壮絶。2015/12/31
ウメ
6
去勢という身体的な欠陥を抱えながら国に仕えた者達。中国宮廷という閉鎖的な空間で繰り広げられる欲望まみれの国事。もっと名も無き宦官の歴史が知りたかったのだが。「蒼穹の昴」の春児のモデルが実在していたことに驚く。2018/10/06