内容説明
尾道に生まれ育ち少女の頃から「ミステリ」と「メルヘン」を愛した光原百合は、やがて英文学研究者となり、故郷で教鞭をとりつつ創作を続けた。惜しまれながら亡くなった作家のファンタジーや童話まで幅広いジャンルの傑作を収録。全篇に溢れる切なさ、優しさ、ユーモアは読者を至福の世界へと誘う。
著者等紹介
光原百合[ミツハラユリ]
1964年、広島県生まれ。大阪大学大学院修了。98年『時計を忘れて森へいこう』で小説家デビュー。2002年「十八の夏」で第55回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。11年『扉守 潮ノ道の旅人』が第1回広島本大賞を受賞。ミステリをはじめ詩、童話、ファンタジーなどを執筆した。また尾道市立大学で教鞭をとりつつ冊子「尾道草紙」を学生たちと共に編纂し、現代の民話を後世に遺すべく努めた。22年8月逝去。23年4月、尾道市立大学名誉教授の称号を授与される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
信兵衛
21
全篇を通して改めて感じることは、どれも優しさに満ちていること。2023/07/17
ガットウ
20
★★★★4.3点。昨年なくなった光原百合さんへの敬意が溢れていて、とても心地良い。まさに珠玉の短編集!2023/09/02
きょん
18
お亡くなりになったことを存じ上げなかったので、驚きつつ手に取った。『時計を忘れて森へ行こう』が好きだったな。どのお話も思いやりのある優しい雰囲気。ただ、「やさしい共犯」は無神経で鈍感だからと言って、見ず知らずの学生に犯人扱いされたりビンタされる男性はちょっと気の毒に思える。私が純粋な学生時代から遥か遠くなりスレちゃったせいかもしれないけど。2023/08/15
だるま
18
昨年、58歳で逝去された光原さんの、最後になるかも知れない短編集。ベスト版では無く単行本未収録作品集で、巻末に年譜と作品リストがあり、光原さんが尊敬していた有栖川有栖さんの追悼エッセイで締め括られている。このエッセイには泣きそうになってしまった。病院の診断で良くない結果が出ていると、10年以上前に御本人から知らされていたとの事で、それでも会うたび明るい笑顔で接してくれたそうだ。この本の内容もミステリ、ファンタジー、童話と幅広いジャンルで、優しく時に切ない光原さんの魅力に溢れた作品ばかり。何度も読み返そう。2023/08/09
ちゃも
15
「扉守」が好きだったので。どのお話も根底に優しさが流れていて、あ~光原先生の文章だ~!と思いながら読んだ。有栖川先生の追悼文もすき。「生きる甲斐をみつけて、生きた甲斐に満足して終われる人生にすればいい(意訳)」って言葉が胸に残る。ミステリーの第二部の三作品が特に好みだった。「なんだい」シリーズ、もっと読みたい~!と思ったけど一冊にまとまってないらしく、もしかしてこの二作品だけなのかな…?「花散る夜に」は情景を思い浮かべながら読めた。私もマノミの花が散ってるところみたいな~。君たち、付き合っちゃいなよ~!2023/08/01