内容説明
複雑な事情を抱え家出した少女・雛歩は遍路道で倒れ、道後温泉の宿「さぎのや」の女将・美燈に助けられた。三千年にわたって行き場を失った人々を受け入れてきたという遍路宿で、雛歩は多くの人に支えられながら自らの生き方を見つけていく。著者が“いま、この世界に一番あって欲しい場所”を描いた感動作。
著者等紹介
天童荒太[テンドウアラタ]
1960年、愛媛県生まれ。86年に「白の家族」で第13回野性時代新人文学賞を受賞。93年には『孤独の歌声』が第6回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年に『家族狩り』で第9回山本周五郎賞を受賞。2000年にベストセラーとなった『永遠の仔』で第53回日本推理作家協会賞を受賞。09年『悼む人』で第140回直木賞を受賞。13年『歓喜の仔』で毎日出版文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
50
自分の生き方を見つけるためには、大勢の支えが必要なのだと思いました。今一番必要な場所を描くことで、自我とは何かを見つけていく物語なのですね。心に刺さる感動作でした。2023/08/09
さち@毎日に感謝♪
24
天童さんの作品の中では意外なほっこりする作品。家出してきた雛歩を迎え入れてくれた「さぎのや」には色々な人がいて、それぞれ事情があってもその人達が皆温かく優しい人達でした。少しずつ自分を取り戻していく雛歩の成長が良かったです。こんな旅館があったら行ってみたいと思いました。2024/05/03
鶏豚
16
傷ついた人々を癒やす道後温泉の宿「さぎのや」を舞台に、雛歩の再生の物語。天童荒太氏の躓いた若者を応援する想いや、愛媛に対する望郷の念が満ちた一冊。惜しいのは登場人物が多過ぎで、各人のキャラクターが十分には立っていないこと。またベールに包まれた主人公の過去が作品半ばで明かされたため、後半が間延びした印象。雛歩が道後秋祭りの神輿の「鉢合わせ」を経て、強く歩み出す、型通りの結末だが、憂いが多い時に読むと優しい気持ちになれる一冊。(3.0/5点中)2023/12/24
チサエ
8
護り、護られ、受け継がれ、そして受け継いでいくもの。ヒトの持つ希望のカケラと、そのチカラ。見送ることのたいせつさ。天童さんらしいあたたかなお話しだった。2022/12/23
Ippei Ashida
4
愛媛の松山にある行き場を失った人を受け入れる遍路宿が舞台。天童荒太さんの作品は過去読んだもので、終始重い文体が多く、今回もそのつもりで読むと結構ギャップがあった。誰にでも帰る場所、さぎのやのようなところがあると良い。 ただ、天童さんの作品はもう少しダークな内容を求めてしまう。。。2024/01/22