出版社内容情報
僕が少年だった日、町にやってきた若き牧師と、やがて訪れた悲劇。キングが怪奇小説の巨匠たちに捧げた慟哭と狂気と恐怖の物語。
内容説明
少年時代、僕の町に新任牧師がやってきた。僕は彼の家のガレージで、キリスト像が湖の上を渡る電気仕掛けの模型を見せてもらった。やがて彼の妻と幼い子が突然の事故で無惨に死亡する。敬虔だった彼は、神を呪う説教を最後に姿を消した。27年後、僕は再会する。「電気」にとり憑かれたカルトを率いる人物となった牧師と―。
著者等紹介
キング,スティーヴン[キング,スティーヴン] [King,Stephen]
1947年、アメリカ、メイン州生まれ。高校教師を経て、1974年『キャリー』で作家デビュー。初のミステリー作品である『ミスター・メルセデス』でエドガー賞最優秀長編賞を受賞
峯村利哉[ミネムラトシヤ]
1965年(昭和40年)生まれ、青山学院大学国際政治経済学部国際政治学科卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Tetchy
72
何とも云いようのないタイトルで、しかも年末のランキング本でもランク外だが、私にとっては拾い物であった。田舎町ハーロウで5人姉弟の末っ子ジェイミー・モートンの家族史であり、彼の運命の出逢いの相手で、彼の人生にとって“鬼札”、つまりジョーカーとなる存在、チャールズ・ジェイコブスとの因縁が描かれる。相変わらずキングは田舎町での人間関係の濃さや大家族を描くのが実に巧い。更にジェレミーがミュージシャンになってからのエピソードは洋楽好きの私にとって実に楽しかった。この陽のパートがあるからこそ、陰のパートが引き立つ。2025/05/08
HANA
67
主人公が少年時代出会った牧師一家。幸福そのものだった一家に凄惨な事故が降りかかり、妻子を失った牧師は進行を捨て行方をくらませる。キングらしく上巻は怪異の欠片も感じさせず、主人公の少年時代から青年にかけての成長が描かれる。相変わらずアメリカのノスタルジアに溢れた日々を描くの上手いなあ。馴染みのないこちらとしては冗長でホラーを読んでる気がしないけど。巻末でようやく牧師との再会、奇妙な電気を使ってのその治療を受けてから、ようやく俄然面白くなる。主人公や治療を受けた人々の奇妙な言動行動が気になりつつ下巻へ。2024/02/21
眠る山猫屋
58
純粋な少年が出会った素敵な牧師一家。キングが描くこういう牧歌的で平和な風景は『ペット・セメタリー』を思い出してしまって、なんだか辛い。そしてそれは牧師の妻と子が巻き込まれた凄惨な(凄惨としか云いようもない)事故を以て破局を迎える日常。酷くて悲惨過ぎる事故がリアルに語られ、絶望が紙面から湧き出してくるようだ。そして牧師が感情の赴くままに行った説教を救えなかった主人公一家。この辺りから、主人公ジェイミーの日常に翳が射す。大人になるジェイミーの日々は、ごく普通で在りながら、何かが微妙に変わっていく。そして再会。2022/10/23
Sakie
18
この切なさは何なんだろう。純粋な感情の記憶、年を経るうちに喪った近しい者たち。少年と青年という構図は青年と中年、年齢を超えた個対個へと凝縮してゆく。美しいもの、善きものが禍々しいものに上塗りされようとする不穏の種は、折に触れ蒔かれている。『恐怖に駆られた人々はそれぞれ、ひとりきりの特別な地獄を生きている』。原題は「Revival」。宗教的なものを含め、いくつかの意味合いが込められていそうだ。雷が落ちる直前の総毛立つような緊張感で上巻は終わり。『これが起こり、続いてそれが起こり、結果としてあれが起こった』。2024/06/19
JILLmama
18
帯に偽りあり。正統派ホラーって書いてあったけど、今のところ全くホラー感がない。そしてむちゃくちゃつまらない。下巻が面白いことを祈る...2022/06/09