出版社内容情報
美しく驕慢な女に無条件でひれふす男達の姿は宗教的法悦境にあるかのよう。絢爛な文体と鮮やかな風俗描写、小説の神髄に酔いしれる。
内容説明
若い女の肌に畢生の刺青を施す江戸の彫師(「刺青」)、衛の国の美しく残虐な妃に対峙する孔子(「麒麟」)、女給・ナオミを自分好みに育てあげようとして翻弄される技師(「痴人の愛」)、音曲の師匠・春琴に尽くす弟子の一生(「春琴抄」)。揺るがぬ美意識で問題作を世に問い続けた谷崎潤一郎の戦前の傑作四篇。評伝と作品解説は井上靖。
著者等紹介
谷崎潤一郎[タニザキジュンイチロウ]
明治19(1886)年、東京・日本橋生まれ。東京帝国大学国文科中退。明治43(1910)年「新思潮」を創刊、「刺青」「麒麟」を発表する。永井荷風に激賞され、一躍文壇の寵児に。西欧崇拝から日本古来の美へと指向は変化しつつ、ゆるぎない美意識に貫かれた作品を生涯にわたり発表し続けた。昭和24(1949)年、文化勲章受章。昭和39(1964)年、日本人として初めて米国文学芸術アカデミー名誉会員に選ばれる。昭和40(1965)年7月に逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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