内容説明
掘り出した金は底を突き、ピートは妹の進学のために未発表原稿を金に換えようとするが、出獄した犯罪者モリスが消えたお宝を追って魔手を伸ばす。少年を救うために立ちあがったのはメルセデス・キラーを捕らえた退職刑事ホッジズと仲間たち。巨匠がアメリカ文学と犯罪小説への愛をこめて描くノンストップ・ミステリ。
著者等紹介
キング,スティーヴン[キング,スティーヴン] [King,Stephen]
1947年、アメリカ、メイン州生まれ。高校教師を経て、1974年『キャリー』で作家デビュー。初のミステリー作品である『ミスター・メルセデス』でエドガー賞最優秀長編賞を受賞
白石朗[シライシロウ]
1959(昭和34)年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
73
妹のために未発表原稿を売る決心をしたピーター、出所したモリス。原稿を巡る二人がいよいよ出会う事となる。上巻は静かな盛り上がりだったが、下巻に入って一気に話が動き出すのもいつものキング。こちらもその術中に嵌ってしまい、三分の二を占める直接対決は頁数にも関わらず一気読み。前作登場人物の影が薄くても気にならないのは、読書家としてピーター、モリスどちらにもシンパシーを抱いてしまうからかなあ。事件自体は前作に比べ大人しめなのに、題材が題材だけにこちらが興味深かったような。あと最後、次作の予告みたいでこちらも楽しみ。2020/09/24
キムチ
55
圧巻の流れ・・吐息。久しぶり言う事もあり、キング作品に埋め込まれている「過去知識の重み」がずんと来る。シェイクスピアの名言を初め。メルセデス登場時 解らなかったビリーのアイルランド気質や博識、それが育まれた少年期に想いをやる。出会いで、こうも人の人生を変えるか・・という作家。原稿を巡る事件といえばそれまでだが、ピーター、彼が馳せる家族への心情、一方のモリス出獄後の怨念の籠る修羅の行動。小さなエリアで起きた三部作が幕を閉じ・・脳裏に浮かぶアメリカ。ジェローム、ルー、ホーリー素晴らしかったよ、あなたたち!2021/08/18
chie-don
26
『ミスター・メルセデス』に続くシリーズ第2弾。アメリカ屈指の大作家の作品に執着する登場人物、それぞれの心理を綴りながら、息詰まる展開に最後はドキドキしながら読んだ。ホッジズ、ホリー、ジェロームのチーム再結成は嬉しい♪前巻で脳に傷害を負って廃人になったメルセデス・キラーは、どんな能力を身につけつつあるんだろう…ゾクリ…2021/05/16
ちゃま坊
18
あぁ、何もかも燃え尽きてしまった。これでいいのか。今回の悪人もかなり危険なヤツだったな。35年間の刑務所暮しでも絶望せず、生涯をかけての一作家への思い入れはかなり病的。後半手に汗握る攻防だった。前作の悪人ミスター・メルセデスが生存していたが、これは次作の伏線なのか。不気味。 2025/04/23
Satoshi
17
ミスターメルセデスから続く2作目。面白かったし、過去と現在が交差する前半からモリス出所後のスピーディーな展開と申し分ない。しかしながら、著作に執着したサイコパスはミザリーで描き切っているし、メルセデスキラーがモリスの狂気に関与した訳でもなく、モリスが終身刑になった事件も何だかマヌケだし、読んでいてイマイチのれなかった。次回作はメルセデスキラー復活を期待。2024/03/01