出版社内容情報
爆弾テロ事件の容疑者となったバーテンダーが、過去と対峙しながら事件の真相に迫る。逢坂剛・黒川博行両氏による追悼対談を収録。
乱歩賞&直木賞ダブル受賞、不朽の傑作ミステリ!
爆弾テロ事件の容疑者となったバーテンダーが、過去と対峙しながら事件の真相に迫る。逢坂剛・黒川博行両氏による追悼対談を収録。
内容説明
アル中のバーテン・島村は、ある朝いつものように新宿の公園でウイスキーを呷った。ほどなく、爆弾テロ事件が発生。全共闘運動に身を投じ指名手配された過去を持つ島村は、犠牲者の中にかつての仲間の名を見つけ、事件の真相を追う―。乱歩賞&直木賞を史上初めてダブル受賞した傑作。
著者等紹介
藤原伊織[フジワライオリ]
昭和23(1948)年、大阪府生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。大手広告代理店に勤務の傍ら、執筆活動を始める。昭和60年に「ダックスフントのワープ」ですばる文学賞を受賞。平成7年、『テロリストのパラソル』で江戸川乱歩賞、翌年には同作品で直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
143
原りょうさんの小説をふたたび読み始めて同じ世代のこの作者の作品も読み直し始めました。この作品はこの作家のやはり最高傑作なのだという気がしました。読んだ当時は私も学生運動の当事者だったこともあり生々しい感じがしていましたが、今ふたたび読み直すと当時をなつかしい感じで思い出します。主人公と半やくざが存在感ありますね。2017/11/21
ゴンゾウ@新潮部
103
乱歩賞と直木賞の同時受賞。当時とても話題になった作品を再読。とても魅惑的なタイトル。20年以上も前に書かれた作品なのに色褪せていない。新宿中央公園で起きた爆破事件が20年以上も前に別れた学生運動を共に戦った仲間と起こした爆破事件に繋がっていく。当時の事件を辿るうちに真相にたどり着く。そこには悲しい結末が待ち受けていた。主人公だけでなく魅力的な人物が登場。特に浅井が秀逸。2016/01/17
パフちゃん@かのん変更
103
学生運動か。私はその時代よりは若いが、一度だけ革マルと中核がこぜりあって怪我人が出たのを見たことがある。怖いですね。著者は東大卒で頭の良さは小気味井の良い会話に十分表れている。本作品は乱歩賞、直木賞のW受賞作。主人公を始め、ヤクザの浅井、祐子の娘の塔子のキャラも魅力的。とても気に入りました。しかし、明らかにされた事件の首謀者とその理由が・・・。とにかく、登場人物はすべて関わりがあり、一人の無駄もありません。藤原伊織氏、気に入りましたが、59歳で亡くなられたそうですね。アル中じゃなく、食道がんで。2015/09/09
じいじ
97
4作目の藤原伊織作品。既読の「シリウスの道」「ダナエ」にないハードボイルドな作品で読み応え充分である。主人公のアル中のバーテンが警察に追われながら、真犯人を捜しだすミステリー構成がたいへん面白い。主人公の目の前で死傷者50人を超す爆弾テロ事件勃発で物語が始まる。緻密に練られた犯人の計画を、こんがらかった糸を解きほぐすような展開。読み手の先を知りたい心理を掴んだ文章力が実に巧みだ。事件計画の真相は、自分を無視した女への復讐と女の愛する男への嫉妬であることが、終局で解き明かされる。ミステリー小説の傑作である。2016/03/17
森オサム
85
第41回乱歩賞と第114回直木賞をW受賞し、文春ミステリー1位、このミス6位と言う掛け値無しの傑作。十数年振りの再読だが初読の記憶は全く無し。ハードボイルドの王道を征く主人公のキャラには痺れたが、浅井が更に格好良い。いずれにしてもこの手の作品は文体とキャラで読ませる物なので、ミステリーとしての完成度は二の次。主人公、相棒、ヒロインまでは気に入ったが、敵役が少々私好みでは無かったかな。作中では全共闘世代は40才過ぎだが、今では自分の歳が追い越してしまった。作品は面白いのだが、それが読んでる間切なくて参った。2017/03/25