出版社内容情報
中国奥地に発した謎の疫病を契機とした人類と生ける死者との全面戦争。全世界を舞台とした衝撃のパニック・スリラー大作の原作小説。
内容説明
死者の大軍を前にアメリカ軍は大敗北を喫し、インド=パキスタン国境は炎上、日本は狭い国土からの脱出を決めた。兵士、政治家、主婦、オタク、潜水艦乗り、スパイ…戦場と化した陸で、海で、人々はそれぞれに勇気を振り絞り、この危機に立ち向かう。「世界Z大戦」と呼ばれる人類史上最大の戦い。本書はその記録である。
著者等紹介
ブルックス,マックス[ブルックス,マックス] [Brooks,Max]
1972年、ニューヨーク生まれ
浜野アキオ[ハマノアキオ]
1961(昭和36)年、宮城県生まれ。京都大学文学部卒業。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こばまり
45
ゾンビパンデミックが起きた際の各国の対応と、国境を超えた連携ができないのが何ともリアル。読んでいる最中は公園をそぞろ歩く人々がふとゾンビに見え、さてこんな時はどう切り抜けたらよいかと思案している自分に困惑。著者の煌めく出自に驚く。2021/02/08
HANA
38
最終戦争の行方から、戦前の秩序を取り戻した国、宗教国家になった国、再革命が起こった国、誇りを持って立ち上がった国。小さな情報の寄せ集めから大きな全体像を描き出すと同時に、個々人のその後の行方まで追うことが出来て読み応えがあった。ただやはりゾンビそのものはあまり出てこない。最後の感想は人それぞれだが、個人的には希望も絶望も入り混じったなかなかいいラストだと思う。実際ゾンビとの戦いは物量で押していく地道な物になりそうだし。あと日本のシーンがオタクとスピリチュアルなのは、アメリカ人の持っている印象なのかなあ。2013/05/25
ちこたん
36
★★★★★各国の対ゾンビ対策や大戦後の実情などが皮肉を交えつついかにもその国らしく描かれているので、現実の世界情勢をもっと理解していたらより一層楽しめたと思う。ただ原子力潜水艦や核や人海戦術などを用いての各国のリアルな戦闘シーンが続く中で、日本の設定だけが謎です。三島由紀夫や小松左京や楳図かずおが好きだという作者の日本の独自のイメージでしょうか。各パートが短いので感情移入はできないものの、緻密に構築された世界観にどっぷり浸かることができたので満足度はかなり高めな作品。2017/03/03
眠る山猫屋
30
なんだかちょっぴり間違っているけれど、座頭市登場(笑)弟子となるオタクくんの高層脱出はまさにダイハード♪日本文化への造詣も浅く感じさせない辺り、ジャーナリスティック。この作者、ただものではないなぁ。潜水艦での逃避行から、パリの地下での暗黒世界の死闘まで。そして経済を支える者たちと、私利私欲に走った者たちや、戦争に心壊された多くの人々。一気呵成に読み終われました。2013/11/26
ミツ
24
“「ゾンビとはなんです?」「人間には理解できない、一連の夜の騒乱のことです」”ある個人の視点、町一つ分くらいの限られた空間でしか描かれてこなかったゾンビものを、複数の人々の視点から、全世界規模でのゾンビ・パンデミックを描きだすという離れ業をやってのけた傑作。インタビュー形式をとったモキュメンタリーであり、ゾンビが現実のものとなった世界での国際政治・経済・軍事・文化の在り方をシミュレートした偽史SFであり、そしてなによりも、死の嵐というカタストロフを体験した数多の人々の感情と人間性を巡るドラマなのである。2016/03/10