内容説明
三蔵の供で、天竺へと旅することになった悟空、八戒、悟浄たち。戸惑いながらも、旅を重ねるうちに打ち解けてきた一行。しかし、心はまっすぐなのだが、躾を受けず乱暴に育った悟空は、ある誤解から三蔵より破門を言い渡される。落胆した悟空は、故郷である花果山へと戻るが、旅を続ける三蔵一行には、新たな危機が迫っていた。
著者等紹介
平岩弓枝[ヒライワユミエ]
昭和7(1932)年、代々木八幡神社の一人娘として生れる。30年日本女子大国文科卒業後、小説家を志し戸川幸夫に師事。ついで長谷川伸主宰の新鷹会へ入会。34年7月「鏨師」で第41回直木賞を受賞。平成3年「花影の花」で第25回吉川英治文学賞受賞。平成10年、第46回菊池寛賞を受賞。平成16年、文化功労者。テレビドラマ、芝居の脚本も数多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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S.Mori
31
2も最高に面白かったです。天竺を目指す三蔵の一行に次から次へと襲いかかる危機。悟空を中心とした御者の結束で危機を乗り越えます。悟空は誤解により三蔵法師から破門されることもあります。誤解が解けて二人が絆を深める場面は、じーんとしました。基本的に冒険小説なのですが、物語全体にしみじみとした情感が流れていて、心地よいです。これは作者の代表作である「御宿かわせみ」と同じで、美しい情景描写と一体となって読者を楽しませてくれます。2020/10/13
ちゅんさん
11
三蔵法師は妖怪に捕まりすぎだし、八戒は下衆、沙悟浄は存在感なし!だから悟空が孤軍奮闘するけどそれでもどうにもならないときもなんとすべての神が味方!でどうにかなる。という大味な設定。でも面白いです。ラスボスは誰だろう?牛魔王かな〜。2017/12/03
klu
8
かなり天上界の方々に助けられての旅です。悪役も懲らしめられるだけで、最後は仏に帰依していくパターンですね。2016/01/30
しき
8
そうそう、思い出してきた。三蔵法師っていつも妖怪にさらわれちゃうんだよね(笑)。このワンパターンが癖になってきた。三蔵法師と孫悟空の師弟愛が温かい。いろいろ考えさせられる深さがあるのは、名作古典ならでは。2011/04/02
あんどれ
7
旅ゆけば、悪心を持った人間や、妖怪や、なんやらが出てくる。その繰り返しで非現実的な話なのだが、それでも旅する途中の風景を魅力的に書いているところが素晴らしいと思う。その情景を想像することで物語に入っていける。 一度、悟空が誤解ゆえに三蔵に破門されるところはとても心打たれる。なんて愛おしい弟子なんだろう。 八戒はとにかく皮肉屋で何事もケチをつける憎たらしいやつなのだが、こういう人間いるし、こういう部分を誰かしら持ってるよなあ。その八戒も成長の兆し?2013/06/18