内容説明
巨大な世界帝国はなぜ滅んだのか!ギボンの浩瀚な原典を、ポイントを押さえて短縮化し、テキストに従って、新たに多くの写真・図版・資料を加え、初めてローマ史の専門家があたった画期的な訳業。1冊で読み切る、ギボンの記念碑的大著。
目次
アントニーヌス朝時代の帝国の支配領域と軍事力
アントニーヌス朝時代のローマ帝国の一体化と繁栄
アントニーヌス朝時代のローマ帝国の制度
コンモドゥス帝の残忍・愚昧と彼の誅殺(一八〇年~一九三年)
ディディウス・ユリアーヌスへの帝権の競売、セウェールス帝の勝利(一九三年)
セウェールス帝の晩年からセウェールス朝の断絶まで(一九八年~二三五年)
マクシミーヌス帝からフィリップス帝まで(二三五年~二四八年)
デキウス帝以降の諸帝(二四八年~二六八年)
クラウディウス帝とアウレリアーヌス帝(二六八年~二七五年)
アウレリアーヌス帝死後の軍隊と元老院(二七五年~二八五年)〔ほか〕
著者等紹介
吉村忠典[ヨシムラタダスケ]
1925年、名古屋市に生まれる。1948年、東京大学文学部西洋史学科卒業。現在、横浜国立大学名誉教授。専攻・ローマ史
後藤篤子[ゴトウアツコ]
1953年、大分県に生まれる。1984年、東京大学大学院人文科学研究科修了。現在、法政大学文学部教授。専攻・ローマ史
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ツキノ
10
さらっと読み。「ギボンのローマ帝国衰亡史」と図書館のレファレンスカウンターで問い合わせがあり、本の存在すら知らなかった、という赤っ恥。えっと、高校で世界史学びましたがまったく身になってない…「読んだ?」と訊かれ「いいえ」と答えると「忙しかったんだね」(好意的。ありがたし)。60代の利用者さんは学生時代に読んだそうで、短縮版ではなく完訳版をお求めで、書庫にあったちくま学術文庫を借りていかれたのでした。あやかって、せめてこちらを見てみようと借りる。レファレンスカウンターに座っているとたいそう勉強になります。2018/07/06
hitotoseno
10
いわゆる五賢帝時代から西ローマ帝国の滅亡まで。分量からすれば半分以上の叙述がカットされているだろうと推測するが、おおむねの流れは読み取れる。いわゆる軍人皇帝の時代からローマはしっちゃかめっちゃかになっていくが、それ以降(西ローマ帝国でさえ)300年近く維持されていくのだから、なぜ衰亡したのか、というよりも、なぜ維持され続けたのか、ということを考える方が面白そうだ。2017/02/09
すがし
5
ついにあの大著に挑戦。とは言っても一冊本のダイジェスト版だが、それでもハードカバー上下ニ段組で600ページある! 一日ではとても読めないので一日30ページずつ分割して読んだ。内容は、考古学の未発達なフランス革命前に、文献だけを頼りに書いたなどとはとても思えないほど精緻な考証に基づいて迫真の筆致で描かれている。繁栄を築いたもの、繁栄に溺れるもの、才あれども報われないもの、才あるが故に苦しむもの、誇り高い蛮族、卑小な元老院議員……あらゆる人生がこの一冊の中に描かれ、1つの文明が息づいている。2012/11/02
Ucchy
2
帝政開始から西ローマ滅亡の約450年間=関ケ原の戦いから現在までよりも長い年月に及ぶ叙述。ここまで長いと単独の理由で衰亡を説明することはできないという感じだ。帝政なので皇帝の資質次第で繁栄もすれば混沌にもなるという、個人への依存性が高い政治体制だったということは言えるようだ。個別の点では、共和政時代に既に帝国の領土拡大はほぼ完了していたこと、神聖ローマ帝国など「ローマ」が理念としてその後も生き続けるなどが興味深かった。西ローマ帝国滅亡で終わっているが、その後1048年間続いた東ローマ帝国の歴史も知りたい。2019/06/30
Haruka Fukuhara
2
図説なら気軽に読めるかと思って予約したら2段組み600頁の大著が届いた…。名文と言われる彼の原文が読めないのは残念だけれど、重みのある魅力的な著作だと思う。2017/02/03