内容説明
不細工で下腹の突き出た、しかしプライドだけは高い名門女子大生デリヘル嬢。「あたしバカだからわかんな~い」を口癖に、男を欺き続けることが生き甲斐のC級グラビアアイドル―。どこにでもいる普通の女たちが垣間見せる、虚無的で渇いた性愛模様を切り取った、岩井版「黒い報告書」ともいうべき作品集。
著者等紹介
岩井志麻子[イワイシマコ]
1964年、岡山県生まれ。ジュニア小説作家を経て、99年、「ぼっけえ、きょうてぇ」で第6回日本ホラー小説大賞を受賞。翌年、同作を含む単行本『ぼっけぇ、きょうてぇ』で第13回山本周五郎賞を受賞。2002年には『チャイ・コイ』で第2回婦人公論文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
dr2006
30
中毒性があるからと避けているのに中毒性があるからこそ読みたくなる岩井志麻子。造花の花びらも枯れて落ちる。24時間営業のファミレスも閉まる瞬間がある。女性の生き様の際どい「際」を見た気がする。手加減のない明け透けさと吹っ切れた感が心地よくて、またきっと読みたくなる。2015/12/19
mari
6
志麻子さんには珍しいこの表紙。内容は志麻子さんらしくマイナスオーラたっぷりの短編集。気分のいい話ではないのに、なのに読んでしまうのはなぜか。。。自分に中のドロドロが昇華されるのでしょうか。2013/02/04
鮎川まどか@AnxAn
5
凡百のホラーを軽々凌駕する作品。 生理的に嫌悪をもよおす短編がズラリ。 現実と地続きであると感じてしまう題材選びも凄い。 傑作。2011/04/15
ぎんりょうそう
3
怖さとは違う一面を見せる作者。あまり希望があるとも思えず、切ない暗黒の世界。いいね、さすが岩井志麻子。2012/08/14
くさてる
3
内容は、暗い思いに囚われて生きる女性を主人公にした短編集。主役はどれも、弱かったりずるかったり卑怯だったりと、負のパワーに彩られて生きる女ばかりで、そんな彼女らが落ちていく運命をさんざんねちっこい文章で書き出していくので、合わないひとには合わないかもしれません。が、後味は不思議と悪くない。それは、殺伐とした風景のなかでもどこか静かな綺麗さがあるから。2007/03/28