文春文庫
いとま申して―『童話』の人びと

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  • サイズ 文庫判/ページ数 411p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167586089
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

大正末期、旧制中学に通う少年は創作への夢を抱き、児童文学の現場で活躍する若者たちと親交を持つ。文化薫る著者の父の評伝風小説。

著者の父の遺した日記が書かせた追憶の記

大正末期、旧制中学に通う少年は創作への夢を抱き、児童文学の現場で活躍する若者たちと親交を持つ。文化薫る著者の父の評伝風小説。

内容説明

父が遺した日記に綴られていたのは、旧制中学に学び、読書と映画を愛し、創作と投稿に夢を追う父と友人たちの姿だった。そして彼らが夢を託した雑誌「童話」には、金子みすゞ、淀川長治と並んで父の名が記されていた―。著者の父の日記をもとに、大正末から昭和初年の主人公の青春を描く、評伝風小説。

著者等紹介

北村薫[キタムラカオル]
昭和24(1949)年、埼玉県生れ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。高校で教鞭を執りながら、昭和59年創元推理文庫版日本探偵小説全集を編集部と共同編集。平成元(1989)年、「空飛ぶ馬」でデビュー。平成3年、「夜の蝉」で日本推理作家協会賞、平成18年、「ニッポン硬貨の謎」で本格ミステリ大賞(評論・研究部門)、平成21年、「鷺と雪」で直木賞を受賞。アンソロジーの編集や、エッセイ、評論などにも腕を振るう“本の達人”としても知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

155
北村薫は、新作中心に読んでいる作家です。最新作『いとま申して3 小萩のかんざし』を読む前に、未読の第一巻を読みました。本書は、私小説的昭和文藝年代記でした。『いとま申して』が、辞世の句の一部だと思いませんでした。続いて第二巻へ。トータルの感想は全三巻読了後に。2018/04/23

kishikan

60
北村薫さんの小説が好きで二十数冊読んでいますが、新刊それも文庫で出たので、それっと飛びつき読み始めたのでした。読み進めるうち、実名がやたら多くて「アレっ?」と思っていたら、この本は北村さんのお父様のことを書いていたのですね。大正から昭和を生き、一時は童話作家を目指していたお父さん。当時の世相や学生生活、横浜界隈の様子が目に浮かぶようです。私の妻は神中(希望ヶ丘高校)卒業生。学校の歴史は話に聞いていましたが、北村さんらしく丁寧な取材をもとに書かれています。お父さんの日記に吸い込まれるようでした。2013/12/18

Yuki

31
作家・北村薫が明治生まれの父・宮本演彦の青春時代の日記を読み解き、「六の宮の姫君」や「詩歌の待ち伏せ」を経た文学探偵の腕を振るう評伝風の小説。旧制中学に学び、読書や映画を愛し、創作を雑誌「童話」に投稿する青春時代。そうそうたる同時代人の名も連なるが、当時にしても学校の試験に青色吐息だったり、投稿作品が入選するか気になって仕方がなかったり、勉強が「うざつたい」と日記にこぼしたりする演彦の10代の少年らしさは現代とそう変わらないと思う。慶応の予科に入り、同人活動で挫折し本格的な勉学を志すところで次巻へ。2018/06/18

いずむ

17
客観的に読む主観が、その視線に宿る感情を想像させる。風景の展開に、”父”の記憶を追体験しながらも、自分自身の思いが象られる。そして、彼の感情が放つ温度を感じながら、決して同化しない。その”近くて遠い距離”の正体を、付記を読んで識る。ボクはその背中に、彼の歩む道のりではなく、彼の生きた時代を見ていたのだ、と。内なる情熱は燃え盛らない。担いだ荷物も軽くはならない。ただ、昔から人はこうして芸術に燃え、それゆえに悩み、楽しみ、生きてきた。その一事で、胸の裡の空気が入れ替わったような、少し穏やかな心持ちがするのだ。2013/12/17

KAZOO

16
北村さんは本当に時代を反映する作品をつくるのがうまいと感じました。これも実のお父さんの十冊の日記(旧制中学入学から大学まで)をもとにして、お父さんが過ごした青春時代をその同人誌や友達とのやり取りをうまく復元して、昭和の初期の時代をうまく描いています。ただ単に日記を紹介するということではなく、完全に別のものに作り上げてしまっています。2013/09/26

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