内容説明
人生の晩年になってやっと与えられる恩寵(おんちょう)、老年。その天の恵みを自分らしく生きるには“美意識”が要る。「すぱっと完全に退く」「義理やしきたりにしばられない」「余計なものは捨てる」―潔く、筋を通し、かくて華やぐ老いの日々、そして“今ココニ”在ることのよろこび。「美しい老年」を実現するための秘訣、5章32篇。
目次
1 潔い老い―晩年の美意識(美しい老い、見苦しい老い;すぱっと完全に退く ほか)
2 いのち華やぐ老い―生きものとの共生(子犬誕生;子犬のいる幸福 ほか)
3 時を充実する老い―定年後の生き方(所属を失うということ;定年帰農 ほか)
4 筋を通した老い―上等な好みの生活(三十年前のジャケット;夏は浴衣に団扇 ほか)
5 落着きのある老い―自分本位の選択(古典ざんまい;心のよりどころとしての古典 ほか)
著者等紹介
中野孝次[ナカノコウジ]
大正14(1925)年、千葉県に生れる。東京大学文学部卒業。カフカ、ノサックなど現代ドイツ文学の翻訳紹介、日本文学の批評、小説、エッセイなど多彩な執筆活動をつづける。堅実な作風で、現代社会にいかに生きるかを真摯に問う作品には高い評価がよせられ、表現する者としての責任を忘れぬ作家生活は深く信頼されている。主な著書に、『ブリューゲルへの旅』(日本エッセイスト・クラブ賞)、『麦熟るる日に』(平林たい子賞)、『ハラスのいた日々』(新田次郎賞)、『清貧の思想』、『老いのこみち』、『幸福の原理』、『風の良寛』など、また『中野孝次作品』全10巻がある
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