出版社内容情報
亡母が“盆戻り”で家に帰ってきた。ある朝おれの家がゆっくり陥没し始めた。突然全ての字が見えなくなった……。愉快で奇怪な短篇集
内容説明
亡き母が“盆戻り”で家に帰ってきた。その姿も声も、一年前に死んだ時とほとんど変わっていなかった。(「胃袋を買いに」)。ある日、おれの家が、ゆっくりと地中に沈み始めた。(「家族陥没」)。突然、全ての文字が見えなくなった。(「デルメルゲゾン」)など、11の超常短篇を収録。愉快で奇怪なシーナ・ワールドが展開する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カムイ
35
椎名さんのエッセイはよく読んでるが、小説は初である、日常にある怪奇小説ですかな、十一編の短編でどれも椎名ワールド炸裂しています、「胃袋を買いに」「家族陥没」特に良くて椎名さんだから書ける小説、椎名造語も幾つも出てくるのだが良くもまー考えますなと思い私の顔が緩みぱっなしでした★4点2018/03/03
カムラ
10
タイトルに惹かれて呼ばれるように手に取った。言語化の難しい不思議な読後感と、サラリと描写されるシュールな造語群が面白い短編集。なにか大事件が起こるわけでもなく、起伏もなく、ただただ「超常的な世界観」のひとコマ?が描写され、明確なオチや登場人物の変化・成長を感じさせないままフッツリと終わるタイプの話が多い気がする。「えっここで終わり?続きは??」とつんのめる感覚が何度もあったけど、なぜか「しっかりオチがついた物語」を読むのと同様の満足感があるのが興味深い。世界観に引きずり込またからなのかもしれない。2024/02/18
5〇5
7
もうなんなのよう。とびっきり奇想な話と懐かしさを感じさせる荒廃SFの作品集なのねぇ。おかしいんだけど、こわい。しかも不思議なのよねぇ。スッキリせずに胃もたれみたいに後を引く感覚が、椎名ワールドなのかしら。2023/02/25
がるっち
7
いやーこのなんか不安なファンタジーな世界、いいなぁ。怖いもの見たさでずっと覗いていたい感じ。2019/01/31
王天上
7
前半のワンアイディア物も面白かったが、やはり後半のいつもの世界観で書かれた変格SFがよかった。どうやらこの短篇群は同じ世界の年代記なんだな。壮大な世界の重箱の隅をつついているようで面白い。2016/09/29