出版社内容情報
中野重治、向田邦子、蘆原英了、啄木、家族、かつての夫─死者たちの遺したものを思いつつ、ありし日を愛惜と共に綴る随筆集
内容説明
生きてきて多くの人々と出会い、そして別れた。遠い世界へ去っていった人々も多い。子供のときの敏感さの反動のように、20代には別離や死別が特別のことには感じられなかった。それが生きている時間が長くなってゆくにつれて別れは深い爪痕のように心の底に刻みつけられてゆく。ひたむきに生きた死者たちを愛惜とともに綴る。
目次
1 ひつとの縁(ひとつの縁;多喜二忌の女;希望に点火するひと;旅の断章)
2 勇気の横顔(時代を切りとった青年;勇気の横顔;坂ちか子の死;母のかなしみ)
3 思い出の色(下駄の音;一本の樹;背番号は「かなしみ」;雨の日の少年)