出版社内容情報
奈良時代の長屋王事件から大仏開眼までを、政争に明け暮れる皇室から庶民の暮しまでを生き生きと描く雄大で波爛万丈の歴史ロマン
内容説明
華やかに咲き誇る天平文化の裏側で恐るべき陰謀が進行していた。持統、元明、元正ら蘇我氏系の女帝に対し、宇合を中心とする藤原氏が権力奪取を企てたのだ。最大の政敵長屋王襲撃で闘いの火蓋は切って落とされ、血で血を洗う抗争が一気に―。長屋王一族滅亡から大仏開眼までを重層的に描き、女流文学賞に輝く歴史大河小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゃいろ子
38
上巻は長屋王家が滅ぼされるまでの様々が描かれている。先に読んだ里中満智子氏の長屋王残照記(こちらも大好き)とは人物の捉え方、描き方が違っていて、そこがまたとても楽しく興味深い。史実として残っているものを消化しつつ、小説として描く作家の力量に改めて感動しながら読んだ。また長屋王側に立ちつつ、藤原家側の人物たちについても丁寧に描かれているから尚の事面白い。光明子しかり四兄弟しかり。長屋王の子どもでいながら母が藤原な為に生かされた小黒女が出家するのだが、権力闘争に巻き込まれた周囲の人々の人生も気になる!下巻へ。2023/03/05
こぽぞう☆
20
長屋王の死までは、長屋王家の資人手代夏雄を主人公に話が進むが、長屋王の変の後は宮廷の人々がメイン。女帝たちと藤原家の対立が描かれるが、果たしてここまで対立していたのだろうか?持統帝の保護なくして、早くに父を亡くした藤原不比等が出世できたとは思えない。痘瘡が入ってきて、藤原四兄弟の死の直前までで上巻は終わった。2016/07/20
エドワード
19
あおによし奈良の都。そこでは藤原不比等の孫である首王子の即位をめぐり、蘇我氏の血をひく女帝たちの抵抗が続いたが、王子は即位し聖武天皇となった。長屋王に仕える手代夏雄と大伴子虫、巷間の医師・張上福と娘の皓英が巻き込まれる、聖武天皇の皇子の病死事件の謎。続いて長屋王の変が勃発、藤原安宿媛が王家外から初めての皇后となる。政府での激しい闘争、庶民の暮らし、大宰府での大伴旅人と山上憶良の交流、遣唐使、行基たちの活動、天平オールスター勢揃いの絢爛たる歴史絵巻。聖武天皇と光明皇后の微妙な関係が気になりつつ、下巻へ続く。2015/09/08
紅花
16
不比等、藤原4兄弟、長屋王、元正天皇、行基、聖武天皇など、今まで読んできた歴史小説の主人公が集まる。全てのつながり、流れが良くつかめて面白い。それにしても、家系図や学術的な講釈無しで、ここまで歴史を理解させるとは。2016/09/23
ナオデラ
5
宇宙皇子で有名な藤原不比等の息子たちが曽我氏系の女帝達と暗闘する時代。長屋王事件から遣唐使、震災から疫病。医療よりも仏や神に祈ることが是とされていた時代。2015/07/16
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- 和書
- 獅子の系譜 文春文庫