出版社内容情報
著者の郷里である諌早を舞台に激動する幕末の時代を背景にして美しく可憐な十五歳になる小女のみずみずしい多感な日常をいきいきと見事に描ききった意欲歴史長篇
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kochi
13
幕末、諸外国からの開国の要求に対し、攘夷だ、国防に力を入れなければ、と日本中が騒がしい頃、九州の小藩、諫早藩の砲術指南、藤原佐平太一家の半年ほどの期間の出来事を、一人娘の志津の視点で描く。世の中が大きく替わろうとしている時、大水や疫病で人はバタバタ死ぬし、メンツにこだわる武士は刃傷事件も起こす。個人はとても小さくて、無力なので、家とか一族というものを意識せざるを得ない。福祉制度のない時代、家という存在が、一種の保険手段になっていたのでは?30数年を経た佐平太のある種の活躍を描く続編の「花火」も印象深い。2021/03/06
7kichi
0
野呂邦暢は随筆がよい、と傾いていたが撤回する。この作品は素晴らしく、国宝に推挙。2013/03/17
uchi93
0
梓書院の本で読んでいたが、ブックオフで見つけ購入。花火読了。2012/05/15