出版社内容情報
北条氏の専横は将軍頼家の命を狙い源家の衰退を図る。宗像水軍を従えて立ち向う頼朝の落胤智太郎と彼をめぐる絢爛たる人間模様!
内容説明
北条氏の隠謀はやがて将軍頼家の命をも狙う。筑紫の海の豪族、宗像水軍の財力と威力を後ろ楯に、智太郎は弟・頼家のため立ち上がる。北条の密偵・猫は敵か、味方か。幽閉の身にある頼家、正気を失った妻・若狭に時政の討手が迫り、修禅寺は炎に包まれる。頼家は死んだのか?物語は意外な結末を迎える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kotaro Nagai
4
下巻は頼家の将軍宣下から修善寺幽閉、実朝の3代将軍までを中心に描かれる。ここでは北条一族、特に義時は陰謀をめぐらす血も涙もない人物として描かれている。主人公の頼朝の遺児・智太郎は頼家を救おうと鎌倉に入り奔走する。伝奇物として面白く読める。本作品は昭和45年の執筆ということで、著者としては初期の作品と思う。そのせいか後年の練達した文章に比べると、文章に深みに欠ける箇所が多々散見される。講談調で紋切り型の言い回しや描写に品格に欠ける印象。後年の「獅子の座」「妖怪」などと比べるとちょっと及ばないのがやや残念。2022/06/14
東森久利斗
2
歴史という名の"物語"の面白さと可能性。もう一つの「鎌倉殿の13人」。闇の奥底に封印された史実、勝者による過度な加筆修正、実在が疑わしい人物、作家の創作、玉石混交な真実と虚偽、学問として刷り込まれ、定説として誤認され、史跡としてそれらしい痕跡を今に残し伝説、伝承として語り継がれる、歴史の1ページ。マルチユニバースなもう一つの歴史、可能性としてのもう一つの視点。女と男の妖艶な世界、もののふの世界に生きる女たちの命を懸けた闘い、女の業。大河ドラマなドラマチックな展開。2024/03/19
ナジィ
0
北条義時がダークヒーローとして魅力的に描かれている。あとがきに少し描かれていた承久の乱編、ぜひ読みたい。平岩さん、結局書かれたのかな?2017/10/28
水戸
0
人の思惑や願い、情や利権などが絡み合って……はてさて、誰が幸福になれたのやら? 哀しい幸福に終わった人もいれば、思惑に流されて、やるせないまま露となった人もいて……時代のうねりに呑まれた人たちの人生が絡んだ、一応の主人公はあるものの、誰も彼もがそうであるような物語でした。なんというか、清々しい読了ではなかったけれど、こういうものなんだろうなぁ、現実って。と、いう感じ。2014/10/05
えびえび
0
智太郎が大宰府に堕ちる際の描写は必要だったのか疑問ですね。上下巻構成ですが、尻切れトンボなのは最終章が省略されてるからなんでしょうか。義時との決着くらいはキチンとやってほしかったと思います。2014/01/29