出版社内容情報
いつまでも終わらない物語のはじまり
世界を旅してきた写真家が十年の時をまたぎ、フォークランドと広東省で経験した驚くべき偶然とは……
(「スルメと空豆ご飯」)
職を失ったホステスとバンドマンがバーで出会い、店長の話をきっかけに、町に団子屋を復活させようと動き出す……
(「これでいくほかないのよ」)
ふとした会話と、少しのつながりから生まれる八編。今なお斬新、最新短編集。
内容説明
世界を旅してきた写真家が十年の時をまたぎ、フォークランドと広東省で経験した驚くべき偶然とは…(「スルメと空豆ご飯」)。職を失ったホステスとバンドマンがバーで出会い、店長の話をきっかけに、町に団子屋を復活させようと動き出す…(「これでいくほかないのよ」)。ふとした会話と、少しのつながりから生まれる八編。今なお斬新、最新短編集。
著者等紹介
片岡義男[カタオカヨシオ]
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始める。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Y2K☮
31
伏線寓意メタファー穿ち仄めかし。世のため人のため社会へのメッセージ。魅力的な登場人物に意表を突く展開。そういう創作も好きだ。でもぼーっと知らない誰かの人生のある場面を眺め、気紛れにスケッチしただけの作品があってもいい。ショーペンハウアー風に言うなら社会を観照している小説が。どれもレシピを明かしてくれているが、きっと誰にも同じ味は出せない。特に「スルメと空豆ご飯」は作家志望の人に読ませたいお手本みたいな逸品。表題作も素晴らしい。続きを読みたい。たぶん読めない。この飢餓感を煽る幕切れもまた名短編の肝だろうか。2022/05/20
rosetta
27
★★★☆☆『スローなブギ』すら読んでいない不出来な読者だが、その時々でその事績を見てきた御歳82歳の短編集。何かと言って事件が起きる訳でもない淡々とした日常のワンカット。どことなく薄らとした虚しさが滲むように感じるのはこちらの勝手な思い込みか。「人生は野菜スープ」という名前の短篇が作者には四篇目になるのだそうだ。2022/06/13
えりまき
21
2022(151)初めましての片岡さん。淡々とした表現が癖になる。当たり前のことを丁寧に表現しているのが好きです。見習いたい。「六十四年インパラ」の「餅が食いたい」「七センチ掛ける五センチ」「丸いのは嫌だ。長方形がいい」って表現がいい!「夜景が見えます」が一番好きです。他の本もぜひ読んでみたい。 2022/06/18
Nao Funasoko
18
もちろんエッセイや評論もいいが、片岡義男の良さを感じるのはこういった短編だな。 と、1980年頃の赤い背表紙の角川文庫にどハマりした世代は思うのである。 収められた8編の作品にはそれぞれ著者本人による簡単な解説コメントが付されており、それを含め一つの作品となっている。 マジックの種明かしをされているような解説に過去作品を思い起こし「あー、そうだったのか」と独り言ち。2022/05/16
tetsubun1000mg
16
web上で書き溜めた短編集を出版したようだ。 最近の片岡義男さんの本はこんな小説の構成の仕方、発想の仕方を解説した短編集が多いように感じた。 片岡氏なりの小説技法の解説集のようでもある。 年齢も80歳代のはずだが文章は相変わらずのクールなテイスト。 あっさりだったり具体的だったりと振れ幅を感じるのだが、片岡氏の技法のひとつなのだろう。 webサイトを見ると「片岡義男.com」というサイトを立ち上げて、全作品のデジタル化と全作品をデジタルで読める有料会員も募っている。 年齢を感じさせない行動力は素晴らしい。2022/05/23