文春新書
藤原道長の権力と欲望―「御堂関白記」を読む

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  • サイズ 新書判/ページ数 268p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166609154
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0295

出版社内容情報

道長、行成、実資。平安貴族が遺した日記の読解から、人間・道長が生々しく浮かび上がる。天皇を退位させた最高権力者の実像とは?

藤原道長『御堂関白記』、藤原行成『権記』、藤原実資『小右記』。平安時代の10世紀から11世紀に亘って書かれた、この3つの日記は、平安時代の貴族社会を知るための第一級史料と言われています。
この3つの史料を照らし合わせて、摂政に上りつめていった藤原道長の生涯に迫ります。藤原道長といえば、知らない人はいないぐらいに日本歴史上の有名人ですが、どんな人物だったのかご存知でしょうか?
3つの日記からは人間・道長がくっきりと浮かび上がります。
たとえば、妻は2人、子供は15人。糖尿病にも悩まされていたようです。性格は小心ですが、大胆な面もあり、よく泣き、よく怒ります。
娘の入内や出産に一喜一憂する道長、天皇に譲位を迫る冷酷な道長……。
歴史を変えた重大な場面も、生々しく再現されます。
国宝『御堂関白記』は、2013年6月にユネスコによって「世界記憶遺産」に認定される予定です。『御堂関白記』に対する関心が高まるなかでの刊行となります。

内容説明

平安時代の摂関政治を代表する藤原道長は詳細な日記『御堂関白記』を書いていた。その全現代語訳を成し遂げた歴史学者が日記を精緻に読み解いた。小心だが大胆、よく怒り、よく泣く。宮中の権力闘争を生き抜いた最高権力者の実像。

目次

第1章 脇役だった青年時代
第2章 後宮を制する者が権力を握る
第3章 彰子懐妊への祈り
第4章 栄華の始まり
第5章 三条天皇との確執
第6章 栄華の絶頂
第7章 浄土への希い
第8章 欠けゆく望月

著者等紹介

倉本一宏[クラモトカズヒロ]
1958年、三重県津市生まれ。東京大学大学院人文科学研究科国史学専門課程博士課程単位修得退学。博士(文学、東京大学)。現在、国際日本文化研究センター教授。専門は日本古代政治史、古記録学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みこ

24
平安時代で最も著名な人物といってもいいのにどんな人生だったかと言われれば意外と分からない藤原道長の生涯を解説。章ごとにあらすじを書いてくれているので、馴染みのない物語でも分かりやすく入ってくる。まず同族内、そして一条・三条と二人の天皇と権力抗争をしていたことは意外だった。天皇二人は道長から見たら甥にあたるが、決して大人しく道長の傀儡とはならない。だからこそ、娘に皇子を産んでもらって直系の孫を天皇にすることが道長の闘いだった。栄華を極めた彼だがその後の一族の繁栄は長く続かず。まるで清盛みたいだ。2023/09/21

もえ

19
図書館の企画展示に備えて、新刊を取り寄せ読了。副題に紫式部の時代とあるが、紫式部については本文に少しと、最後の補章でまとめられている。八章ある本文は、藤原道長の『御堂関白記』と、道長のご意見番組であった藤原実資の『小右記』と道長の側近であった藤原行成の『権記』を元に、時系列に沿って道長の生涯を追っている。三つの日記から見えてくる道長像が人間臭くて興味深い。自分の娘を悉く天皇や東宮に嫁がせて栄華を築いていくが、運も良い人だった。よく泣くし、よく転ぶし(笑)栄華も長くは続かず、病に侵された最期は哀れだ。2023/11/14

ようはん

19
来年の大河ドラマに備えて読破。道長のライバルといえば甥の伊周のイメージはあるんだけど、伊周失脚後も一条・三条両天皇との渡り合いや一癖も二癖もありそうな貴族達も侮れないと、絶対的権力を得るまでに時間がかかった感。2023/07/12

ヒロミ

11
実資の日記では辛口なのに人当たりは悪くないあたりが現代ビジネスマンの処世術にも通じるようでちょっと笑えた。行成は良くも悪くも真面目すぎるんだと思う。御堂関白記をちょっとずつよんでるが、日記がざっくりしすぎてよくわからないときには行成さんの権記の同日を参照したりして描写が丁寧なので助かります。道長って私はけっこう好きです。2014/02/25

紫草

7
藤原道長、藤原行成、藤原実資の3人の日記から、道長の「権力と欲望」を解き明かそうとする。日記、と言っても私はこの本に書かれた部分しかわからないけど、道長ってもっと強引で傲慢な人かと思っていたら、そんな風でもないのかな。家柄とか権力とかで逆らえないのは当然でしょうが、結構人の心をつかむ何かを持ってる人だったのかしら。もっとも、表立って反抗することはできなかったでしょうね。放火とか犬死穢とかで行事を延期にしたりしてちょこっと反抗したりしてる(誰だかはわからないけど)のがおもしろかった。2015/05/29

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