内容説明
「年をとったら枯れる」と信じていないだろうか。老人の性や恋愛を「年甲斐もなく」とタブー視する風潮に対し、介護保険法が実施された後の老人ホームの赤裸々な実態をルポしつつ、高齢者をお客とする性風俗店のナマの声を拾う。その一方、アンチエイジング(抗加齢)の道を模索する医療現場の動きにも着目し、いかに自立して老いるか、老いのクオリティを問いながら美しく生きるある高齢女性の告白にヒントを得る。好評『熟年性革命報告』第二弾。
目次
第1章 人生最後の恋が語るもの(“無修正”も今は昔;エロ本の基準値も変わった ほか)
第2章 シニアビジネスとしての性風俗店(溢れる性風俗情報;十代の性実態へのある誤解 ほか)
第3章 介護保険が「最後の恋」を引き裂く?(家族介護の背景にあるもの;どうなる?介護保険の見直し ほか)
第4章 アンチエイジングへの模索(エイジングとは;アンチエイジングの考え方 ほか)
第5章 美しく老いる―ある女性の生と性(八十一歳の女性からの手紙;性に対する真剣な悩み ほか)
著者等紹介
小林照幸[コバヤシテルユキ]
1968年、長野県に生まれる。明治薬科大学在学中の92年に『毒蛇』で第一回開高健賞奨励賞を受賞。以後、ノンフィクション作家として活動を続ける一方、信州大学経済学部に編入学、2000年3月卒業。99年には『朱鷺の遺言』で第30回大宅壮一ノンフィクション賞を史上最年少で受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ステビア
19
それなりに前の本なので福祉に関する記述など全体的に前時代的で、時代の進みを感じた(幼稚園児並の感想)2021/01/09
ポスト丸山眞男・寺
11
老人の性のルポ。1章は長いエッセイ風。2章は熟年向け風俗。3章は介護保険と老人ホームの色恋沙汰。4章はアンチエイジング。5章はある老女の人生と性遍歴。何と無く散らかった感じ。まあ勉強になるが。老人の性か。若い頃から助平な人は、きっと歳を取っても助平だ。若い頃に大好きだったものが一生好みである様に。きっと本当はただそれだけの事なのだろう。赤裸々を恐れてはいかんですね。2012/10/03
mari
6
さっき「老衰によって枯れて亡くなることが一番穏やかな死だ」という本を読んでたのに、次に読んだ本がこれ!「年をとったら枯れると信じていないだろうか」ときたもんだ。う~ん・・・生きがいという意味ではいいのかもしれないですが、繁殖が終わったら人間ももうええんちゃうの?枯れていけば、と思うのは先ほどの本の影響ですかね(笑)2012/11/15
Hiroki Nishizumi
3
考えさせられた。自分も若い頃は加齢と共に性欲は消えて無くなると思っていた。それが、認識が甘かったことだと気付く年齢を迎えつつある。クオリティオブライフはクオリティオブラブか、人間ってややこしいね。2018/10/17
hiroshi0083
2
講座というよりも、高齢者の性に関する種々雑多な話題が、章ごとに書かれている本。それぞれの章にまとまりは無く、内容の質や面白さも玉石混淆。 その中でひときわ輝いているのは、第5章の藤しづゑさんの人生だ。生と性に関する理不尽な出来事と、それに負けまいとする熱い生き方。そして、静かに熱く燃え上がる老いてからの恋。匿名による記述ではあるが、そこに藤さんの真実の人生があるからだろう。その一方、特に第1章に垣間見える著者の主張にはもやもやした違和感を覚えた。2014/07/23