文春新書<br> 流言とデマの社会学

文春新書
流言とデマの社会学

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  • サイズ 新書判/ページ数 225p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166601899
  • NDC分類 361.45
  • Cコード C0236

内容説明

電話がコレラ菌を運ぶ、「血税」とは文字通り血をしぼり取られることなどの明治時代の風聞から関東大震災を経て、口裂け女や外国人労働者暴行説など最近の噂に至るまで、噴火や地震等の災害をめぐる流言を中心に、社会学、心理学、言語学の視点から、噂がいかに生まれ、形を作って広まってゆくか、そのメカニズムを分析。最近の雲仙普賢岳噴火や所沢ダイオキシン報道、東海村臨界事故などをめぐる風評被害(流言のもたらす経済的被害)の実態も紹介する。

目次

はじめに 最近の流言(外国人労働者暴行流言;阪神・淡路大震災後の「地震再来流言」)
第1章 流言とは何か(流言とは何か;流言、デマ、うわさ;流言の心理学;流言の社会学;竜華の言語学)
第2章 流言の構造と内容(流言は処罰される;二種類の流言;噴出流言;浸透流言;潜水流言)
第3章 風評被害(風評被害とは何か;雲仙普賢岳噴火と風評被害;所沢ダイオキシン報道と風評被害;JCO臨界事故と風評被害)

著者等紹介

広井脩[ヒロイオサム]
1946年、群馬県生まれ。69年、東京大学文学部心理学科卒業。東京大学新聞研究所助教授を経て、92年より東京大学社会情報研究所教授。99年より同・研究所長。社会心理学・災害社会学を専攻
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感想・レビュー

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たこやき

6
「流言」「デマ」「噂」などがどう違い、どういう特徴があり、どういうメカニズムで広まるのか、というのを実例を交えながら綴った書。出版が10年前、著者の専門が災害社会学ということで、実例の古さ、偏りは感じるが、東日本大震災関連で同じことが起きているのがわかる。情報の需要・供給バランスの崩れ、そして、正確な知識・情報により、広まるのを抑えることが可能、というのはわかるが、昨今の状況を見ていても、「言うは易し、行うは難し」だなと感じずにはいられない。知識量は個人差があるし、供給にも限界があるわけだから。2011/04/17

うえ

5
「デマというのは、意図的に仕組まれた情報である。一方、流言は人々のあいだから自然発生的に生まれた情報が、関心をもつ集団のなかで広がっていく現象」「これに対して、流言とうわさの区別は多少困難である」雲仙普賢岳噴火災害では二ヶ月後に、「眉山が噴火する」「また大火砕流が起こる」「警戒区域に泥棒が入っている」という流言が広がった。しかし「伊豆大島大噴火では…多くの流言にもかかわらず、多くの住民は沈着で冷静」だった。しかも事態を誇張した恐怖流言のおかげか大島町は避難指示が速やかだった。●ただデータ以外はイマイチな本2015/05/17

boya

3
流言をふたつの類型「噴出型」と「浸透型」に分け、そのメカニズムについて実例豊富に説明されている。また、出典・引用が明示されており、流言にかんする基本文献として有用だろう。後半の風評被害にかんする例(東海村臨界事故・所沢ダイオキシン報道など)も身近でわかりやすい。2010/05/31

越部社長

2
これまでにどのようなシチュエーションでどういった流言やデマが実際に流布したのかという事例を中心に、主に流言についてまとめた本。情報への欲求が高まっているのに情報が不足している状況下で、その不足分を補うコミュニケーションとして流言が広まるというのは、今ツイッターを中心に起きていることと同じだと感じた。予防には正確な情報が広くいきわたることが肝要。2011/03/25

ottohseijin

1
「情報の供給過少(需要過多)が流言の要因」「流言蜚語は報道形式を借りた世論」2010/07/24

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