内容説明
孝明天皇に厚く信頼されながら、薩長によって「賊軍」の汚名を着せられ、滅亡の淵に立たされた会津藩。その悲劇を象徴するのが白虎隊であった。しかし、その名を口にするとき、多くのひとが語るのは「飯盛山の集団自決」のことだけであり、白虎隊の全体像は意外なほど知られていない。白虎隊に属した多くの少年たちは、戊辰の戦いで命を落とすことなく、彼らにとって過酷な「戦後」となった明治の世を懸命に生き抜いた。その姿をも描く画期的作品。
目次
第1章 その成立前後
第2章 戦雲近づく
第3章 白虎士中二番隊・戸ノ口原の戦い
第4章 白虎士中一番隊・城下の戦い
第5章 飯盛山にて
第6章 開城まで
第7章 自刃十九士の発見とその後
著者等紹介
中村彰彦[ナカムラアキヒコ]
1949年、栃木県生まれ。東北大学文学部卒業、出版社勤務を経て作家に。87年『明治新選組』でエンタテインメント小説大賞、93年『五左衛門坂の敵討』で中山義秀文学賞、94年『二つの山河』で直木賞を受賞
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感想・レビュー
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tomi
19
白虎隊と聞いて思い浮ぶのは飯盛山での集団自刃で、全員が自刃したと思っていた(実際『日本国語大辞典』にも「全員自刃」と記述されているという)。しかし実際自刃したのは六隊で編成された隊のうち「士中二番隊」の一部だった。戊辰戦争当時の各隊の行動が詳述されていて、読み応えのある内容。生き残った者たちのその後も記されている。 自刃した中にも生還した少年がいた、また彼らが発見される前に脇差などを略奪した地元民がいたという(半死半生の少年を見捨て、彼に後々まで武士の魂である刀を奪われた屈辱を強いた罪は重い)。2013/08/01
かやは
4
会津の白虎隊がどのように行動したか、詳しく書かれている。しかしその辺りは正直読みにくくて飛ばしてしまった。印象に残ったのは、16、7歳の少年たちの潔さ。それは日々の教育の賜物だということ。高潔な魂を持つに至るためには、日常的に学ぶことが重要なのだと感じた。現代は自分の生き方を自由に選ぶことが出来る分、拠り所が無くなったように感じる。2012/11/01
イボンヌ
3
生江は知っていても関心のなかった、白虎隊について知りたくなり読む。武士道精神の模範として、世界にも知られているようです。もう何冊か読んでみたいです。2016/09/22
あでりぃ
2
新書なので、すぐに読み終わるかと思ったが、なかなかの内容で読みごたえがあった。関連映像と合わせて読むと面白い。2012/02/19
いちはじめ
2
白虎隊の史実を追う好著。僕は小学校の修学旅行が会津若松だったりする隣県の出身なので、白虎隊の名はなじみ深いが、それでも知らないことがたくさん書かれており、興味深かった2001/05/16