出版社内容情報
正倉院に収められた毒草ランゴン。画期的な心臓薬となったジギタリス。じつは身近にある毒草たちの面白くも不思議な発見の物語
内容説明
たった0.06ミリグラムで巨象を打ち倒すバッカク。天武天皇系の皇位が天智天皇系に移る一年前、正倉院から密かに持ち出された毒草冶葛。絶望的な激痛から人類を救い出したケシ。高速道路のかたわらで、青酸カリより激しい毒草としての甦りを待つキョウチクトウなどなど、人間の生と死をあやつる毒草は私たちのすぐそばにいる。これは、そうした毒草を食べてしまった人たちの世にも怖ろしい44の物語である。
目次
ドクウツギ―別名はイチロベゴロシ
バイケイソウ―一つ目の胎児を産む妊娠十四日目の恐怖
キョウチクトウ―アレキサンダー大王の軍隊を打ち倒した毒草
トリカブト―解毒剤はいまだにない
フクジュソウ―元日花といわれるが…
キナ―もし世界の平均気温が二度あがったら
バッカク―LSD誕生の瞬間
シキミ―抹香くさいとはシキミの臭い
ドクゼリ―小さじ一杯が生死の分かれ目
アサ―ガンジス河に流れる大麻の煙〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
112
この本で一番怖かったの。あるバイケイソウ属を妊娠14日目に口にするとcyclopamineとよばれる不気味な奇形をひきおこす。サイクロパミンとは、ギリシャ神話の一つ目の巨人キュクロプスのことで、一つ目の胎児が生まれることから名づけられた。そんな子に立ち会ったと仮定したら……結構ビビる。本書では、ヒツジの事例だったけど、それでも相応のインパクト。
mitei
67
著者が毒草を食べてみたという触れ込みだが本当に食べたのかは疑問。しかしいろんな毒草の紹介や効能?が書かれていて勉強になった。2012/07/27
ホークス
52
日本にもこんなに毒草が生えてるとは!人は植物を薬としてきたが、薬は裏返せば毒にもなる。薬局を表すファーマシーの語源は古代エジプトの「毒草使い」だ。本書は成分、症状、事故例に歴史を交え解説する(一部は実際に食べている)。トリカブト、夾竹桃、彼岸花は元より、スイトピーや水仙やポインセチアも危険度大。スズランは全ての部位に毒があり、花を活けた花瓶の水でも死ぬ。昔から食べている地域でも少しの油断で中毒するから怖い。コカ、ジギタリス、弟切草、マンドラゴラ等の歴史や伝説はかなりゾッとする。2017/12/11
ユウユウ
34
体張ってるけれど、それほどイロモノでないところがおもしろい。2017/08/11
らぴ
33
夾竹桃とかスズランの毒は知っていたけれど、福寿草とかスイートピーにも毒があったとは! 単なる毒草に関する知識解説ではなく、歴史上の人物や実際あった事件なども絡めたエピソードがとてもおもしろい。有川浩の『植物図鑑』とセットでどうだろう……違うか(笑)。2010/08/07