薫香のカナピウム

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  • サイズ B6判/ページ数 315p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784163942063
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

生命の坩堝たる熱帯雨林、その林冠部で少女たちは生きる。海洋SF『華竜の宮』で脚光を浴びた著者が、未来を見つめて描く森の物語。

赤道直下の熱帯雨林、地上四十メートルの林冠部が〈カナピウム〉と名付けられた未来。
豊かなる生態系を誇る樹上には、多彩な生物が集まっていた。生命の坩堝たるこの場所で生きる少女たちは、枝から枝へしなやかに跳ぶ――。やがて〈巡りの者〉と出会った少女たちは恋を知り、ともに森を襲う試練と闘っていく。
日本SF大賞を受賞したSF巨編『華竜の宮』で人類滅亡の危機と闘いもがく人々を描き話題を呼んだ著者が初めて紡ぐ、たおやかなる少女のビルドゥングスロマン。

イラストレーション:鈴木康士

内容説明

赤道直下の熱帯雨林、地上四十メートルの林冠部が“カナピウム”と名付けられた未来。豊かなる生態系を誇る樹上には、多彩な生物が集まっていた。一方で、彼方には銀糸のごとく煌く軌道が見え、森の住民には作れない先端テクノロジーも存在する…。SF巨編『華竜の宮』で人類滅亡の危機と闘いもがく人々を描き話題を呼んだ著者が、初めて紡ぐ、たおやかなる少女のビルドゥングスロマン。日本SF大賞受賞の実力派が未来を優しく見つめ描いた至高のファンタジー。

著者等紹介

上田早夕里[ウエダサユリ]
兵庫県生まれ。2003年『火星ダーク・バラード』で第4回小松左京賞を受賞しデビュー。11年に『華竜の宮』で第32回日本SF大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

文庫フリーク@灯れ松明の火

116
ボルネオ島近くの島。熱帯雨林の樹木の、枝や葉が連なって繁る地上から30~40メートル部分は「林冠-カノピー」と呼ばれ、地上に降りることなく生涯を終える生物が無数に存在する。肉食獣の多い地上に比べ安全で、果実を始めとする食糧も豊富。樹木と生物との相利共生が成立した特殊な領域【林冠生態系】生い茂る枝と葉は道なき道。特定の香り-例えばフタバガキの花の匂いを嗅覚で察知し、香りの道筋【香路】を枝から枝へ跳び移る一族の少女・愛琉。その日出逢ったのは仮面で顔を隠した【巡りの者】と呼ばれる一族。むせ返るほど濃密な樹木と→2015/07/04

みっちゃん

105
穏やかな樹上生活を送る一族。からの、次第に明らかになってゆくこの世界の真実とは。読み進むごとに「来たよ、来たよ!」と高まる期待。いよっ!待ってました!この驚きは、上田作品ならでは。管理された安穏な生活よりも、自分たちの未来は自ら選びとる彼らにエールを送りたい。物語のその後、前日譚、スビンオフ、どうしても期待してしまう。オーシャンクロニクルシリーズに勝るとも劣らない魅力的な物語世界の誕生が心から嬉しい。2015/04/30

nyanco

82
堪能…、抱えている本が多く、上田さんの作品に向き合えるか心配で後回しになっていたのですがパラパラとめくってみると熱帯雨林の樹上で暮らす乙女たち、とファンタジー調、一気に世界に引きこまれました。愛琉のしなやかに跳ぶ姿に魅了される。熱帯雨林、危険な地面を避け、樹上で暮らす少女たちは、巡りの民の訪れを、彼らとの「合わせ」を待つ。やがて少女たちの前に彼らが訪れ、各々のパートナーが決まり、カップル毎にパレでの新生活が始まった途端、事件が起こる。逃げ惑う民、捕獲…と穏やかな暮らしが一転する。いやぁ~、面白かった!続→2015/03/14

ちはや@灯れ松明の火

77
深緑の匂いに満たされた森は神の創りたもうた庭園。数多の生命が育まれては静かに林床へと還っていく、死を内包した生の輝き。いつか巡りを合わせる者の訪いを待ちわびていた刻の終わり、その声は心を揺さぶり、その素顔に魅入られた。かぐわしい花に似たしあわせが続くことを、やがて豊かな実を結ぶことを希いながら。森に拡がる煙が煽る不穏、蔽い隠されていた真実の貌。この世の理を知らなければ、神に造られた箱庭だと知らされなければ。楽園を発とう、追われるのではなく、自ら選び取った道として。旧い物語を終え、新たな歴史を刻むために。 2015/08/27

Yuna Ioki☆

56
956-159-1 少年少女対象かな?自由とはいったい何なのだろうかと考えさせられる。与えられた環境の中で満足するのも、自らの力で切り開いて行くのも自由には違いないが、後者の方がより納得できる人生を送れるのだろう。2015/05/01

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