内容説明
夏目漱石、芥川龍之介、松本清張…。あの文豪の、こんな謎も、お父さんが解決!
著者等紹介
北村薫[キタムラカオル]
1949年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。高校で教鞭を執りながら執筆を開始。89年『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の〓』で日本推理作家協会賞、2006年『ニッポン硬貨の謎』で本格ミステリ大賞(評論・研究部門)、09年『鷺と雪』で直木賞、23年『水 本の小説』で泉鏡花文学賞を受賞。アンソロジーやエッセイ、評論にも腕をふるう「本の達人」としても知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
235
北村 薫は、新作中心に読んでいる作家です。中野のお父さんシリーズ第四弾読みました。 今回は、文豪連作短編集、お父さんの登場&謎、少な目です。オススメは、「漱石と月」&「芥川と最初の本」です。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163918020 2月は、本書で読了となります。2024/02/29
trazom
137
出版社に勤める編集者の女性が、文学・文壇にまつわる謎を解決してゆくという何ともユニークで楽しい物語。中野の実家に住むお父さん(高校の国語教師)の抜群の推理が冴えるというのがタイトルの意。漱石が「アイ・ラブ・ユー」を「月が綺麗ですね」と訳したという都市伝説はどうしてできたか/松本清張の「点と線」のトリックの稚拙さを公然と指摘したのは誰か/芥川龍之介の「羅生門」の装丁に刻まれた漱石の思い出など5つの謎の物語からなるが、資料や裏話を手繰りながら真相に迫ってゆく展開は、スリル満点でとても楽しい。ああ、面白かった!2024/04/03
紅はこべ
126
小説だけ『本の小説』シリーズのような文学エッセイに近い。美希の恋愛は停滞気味。美希のしゃべり言葉が変わったみたい。正ちゃんに似ている。海外文学が減ったのは美希が読書家ではないからか。テーマの一つが失われゆく習慣文化のこと。美希の年でハエトリ紙を知らないってあり得るか。ふ2025/03/19
KAZOO
114
北村さんのシリーズ最新作で5つの話が収められています。雑誌の編集者の女性が、仕事中にある文学などに関するちょっとした謎が提示されます。それを女性の父親が解いていくということで楽しめます。今回は漱石、松本清張、三遊亭圓生、萬葉集、芥川龍之介と私にとっては印象に残る話ばかりでした。やはり北村さんは文学についてよく研究されていますね。2025/04/14
buchipanda3
99
今回も文芸謎解きミステリ噺を存分に楽しめた。漱石、清張、池波正太郎などの謎めいた逸話の深掘りに興味がそそられ、それを愉しげに語り合う空気感もまた心地良い。今作では時代感覚と言葉の力が印象に残った。時代の移ろいに伴う常識の変化があるが、昔の本は当時の活きた感性に触れる愉しみとなる。漱石の言葉からあの映画の台詞に繋がる面白味、芥川の手紙に喜々となる心、落語の魅力を小説に盛り込む遊び心、ルビで示す落語家への敬意。どれも本と言葉が在ることの愉悦を伝えてくれる。あと著者は駄洒落だけじゃなく今のお笑いも好きそうだね。2024/02/11