出版社内容情報
菊池寛の将棋小説への疑問、志ん生のCDに隠された秘密、小津映画の原作をめぐる謎……国語教師の父と編集者の娘が解き明かす。
内容説明
本と日常の謎はコタツ探偵におまかせ!消えた映画の名台詞はどこへ?あの傑作の名付け親は誰?原作料だけもらった大作家?教師の父と編集者の娘の“名探偵コンビ”シリーズ。
著者等紹介
北村薫[キタムラカオル]
1949年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。高校で教鞭を執りながら執筆を開始。89年『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞受賞。2006年『ニッポン硬貨の謎』で本格ミステリ大賞(評論・研究部門)受賞。09年『鷺と雪』で直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
250
北村 薫は、新作中心に読んでいる作家です。中野のお父さんシリーズ第三弾読みました。コロナ禍なので時代は令和の設定ですが、内容が懐古趣味的な昭和で古過ぎです。また快刀乱麻という程、キレがありません(笑) https://books.bunshun.jp/articles/-/6784?ud_book2021/12/01
紅はこべ
125
美希はもう三十路なのか。それにしては男女の機微に疎いな。手塚の気持ちに気付こうよ。意外とあざとい系女子だったりして。北村薫愛読者にとってはお馴染みのトピックばかり。快刀乱麻というほど、謎解きに切れ味はなかったと思うが。北村薫の本が出て来るという軽いお遊びもあり。「本の大切さというのは、分からない人には全く分からない」これは本当にそう。2022/03/23
buchipanda3
110
本と日常の謎解きミステリ短編集。ふふっ、楽しい。肩肘張らずにマニアックな本ネタ、作家ネタをこんな風に面白く読ませてくれるなんて。ネタがどんどん深掘りされて、あらら横道にも逸れてどうなるのかと思ったら、ばしっ、気が付けば見事な収束で思わずニヤリと。今回は本だけじゃなく落語ネタも豊富。古今亭志ん生は、志ん生という生き方の作品を客に楽しませていたのだなあと。志ん朝の話がまた良かった。当時の空気感(と真実)を伝えてくる本や音源など記録の存在がいかに人の心に訴えてくるものか。著者が本の虜になるのも分かると思った。2022/02/16
ジュール リブレ
89
中野のお父さんシリーズ3作目。もうここまで来ると日本文学の楽しい授業だな(受けたことは無いけど)文春は実は文芸から始まって今の文春砲に至るわけだけれど、もともとは菊池寛なんだよな。小津安二郎の裏にある映画と文学の話や志ん朝の落語噺、将棋の話まで交ぜ込んで、文学上の謎解きを。スムーズに流れる文章も円熟の技。流石です。2021/12/23
ばう
84
★★★★ シリーズ3作目。マンネリ化するどころかますます面白くなっています。今作は将棋と落語と映画に纏わる話、でしょうか。どれも面白かったけれど瀬戸川猛資の映画『動く標的』に関する話と古今亭志ん朝の『三軒長屋』の話が良かった。中でも志ん朝の話は一番心に残ります。ところで中野のお父さんはどれだけ本を持ってるのですか?そしてどれだけ知識を持ってるの?まるで魔法使いみたいに「ちょっと待ってろ」と言って書庫に行くと魔法のようにその時の話題にぴったりの本を持ってくるんだもの。これはまだまだ続いて欲しいシリーズです。2022/05/11