内容説明
コロナ禍のさなか、家でひきこもっていた女性が見つけた名簿と一冊の本。地方の高校に通っていた記憶が、映画を見ているかのように浮かびあがる。『ラブアタック!』、『パンチDEデート』、「クミコ、君をのせるのだから。」、ミッシェル・ポルナレフ、スタイリスティックス、『ミュージック・ライフ』、『FMレコパル』、旺文社のラジオ講座…そして、夜の公衆電話からかけた電話。「今からすれば」。見る目を広めた彼女の胸に、突如湧き上がる思いとは。
著者等紹介
姫野カオルコ[ヒメノカオルコ]
1958年、滋賀県生れ。姫野嘉兵衛の別表記もあり。90年スラプスティック・コメディ『ひと呼んでミツコ』で単行本デビュー。2014年『昭和の犬』で直木賞、19年『彼女は頭が悪いから』で柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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fwhd8325
122
思い出したくないことも、ずっと大切にしたこともひっくるめて青春。青春を最近ではアオハルなんて言っているのも目にします。青春が一つの季節であるのなら、やはりそれは純粋に美しい時間だったと胸を張って言います。姫野さんとはほぼ同世代。最終章の爽やかなこと、爽やかなこと。何時までも青春なんてことは言わない。青春とは、やはり特権であるべきだと思います。2021/02/06
モルク
119
姫野さんの定番小説。有無を言わせず厳しく自由を娘に全く与えない親は相変わらず不快となる。私とほぼ同世代なので、70年代の世相、出来事がやけに懐かしい。私の友人もミッシェルポルナレフが好きだったな。歌はいいけど、あの太い白いフレームの大きなサングラスが苦手だった。伊藤咲子は「乙女のワルツ」よりは「ひまわり娘」そして城みちるとの逃避行のイメージが強い。そうそう、昔の先生って老けてたな、とかいろいろ思い出した。同世代や同郷ならそれだけで楽しめるが、それ以外の人はどうなんだろう?2021/02/03
うっちー
85
ほぼ同世代で、共学で、公立でした2021/03/28
tetsubun1000mg
83
筆者略歴を見ると、姫野カオルコさんは作品中の登場人物と同じ昭和33年生まれだったことに気が付く。もっと若い方だと思っていたのだが。小説の舞台が昭和そのもので学校の様子がそのまま出ていたような気がしたのは当時の学生生活が元ネタなのかな。いかにもありそうな地方の高校生活と、同級生たちとの会話に懐かしさを感じる。 思い出しながら書いたのだろうか。姫野さんはいろんな題材で書かれるので、実体験が元になっているとは限らないでしょうね。ネットで滋賀県立虎丸高校をサーチすると虎姫高校がヒットした。姫野さんの出身校かな?2021/08/04
いたろう
77
「青春とは、」という表紙の踊るような題字と教室の机の写真、これを見て、誰が姫野カオルコの小説だと思うだろうか。朝井リョウの小説と言われた方がしっくり来そう。それはともかく、主人公は、シェアハウスで暮らす60代の女性。2020年、コロナ禍で仕事が休みになり、普段しないところの掃除でもと取り出した袋の中身から、記憶は昭和50年の滋賀県の高校時代に飛ぶ。これは、まさに姫野さんの高校時代と重なって、TV、芸能話が時代を感じさせる。青春小説というより、地味な女生徒とその周辺のクスッと笑える逸話といった感じが面白い。2020/12/16