出版社内容情報
「悪人」「さよなら渓谷」「ランドマーク」等、罪を犯した男たちを描いた名作の数々。圧倒的なストーリーテリングが胸を熱くさせる!
内容説明
「悪人」(毎日出版文化賞、大佛次郎賞)「ランドマーク」「さよなら渓谷」など。早く嘘を殺さないと、真実のほうが殺されそうで怖かった(「悪人」より)「自伝小説3」(書き下ろし)など全9作品、愛蔵版コレクション!
著者等紹介
吉田修一[ヨシダシュウイチ]
1968年生まれ、長崎県出身。法政大学経営学部卒業。1997年、「最後の息子」で文學界新人賞。2002年、「パレード」で山本周五郎賞。2002年、「パーク・ライフ」で芥川龍之介賞。2007年、「悪人」で毎日出版文化賞、大佛次郎賞。2010年、「横道世之介」で柴田錬三郎賞。2019年、「国宝」で芸術選奨文部科学大臣賞、中央公論文芸賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hiro
77
犯罪小説集、逃亡小説集に続くシリーズ完結の第三弾がでると聞き、この本がその小説集だと思って図書館で予約したが、届いたのはこの個人全集の『犯罪 コレクション』だった。そのため、『さよなら渓谷』と『悪人』は既読で映画もみていたが、上下2段組の639頁のこの本を手に取ったときは、返却日まで読み終えることができるのかが心配になった。しかし、前半の長短6編を三日で読んでしまうほど、引き込まれてしまい、既読の二作品も、もちろん結末は知っているが、再読であらためて気づいたところもあり、最初の心配はまったくの杞憂だった。2020/02/11
しーちゃん
63
自分をレイプした犯人に10年後偶然会ったら…「さよなら渓谷」あんた大切な人はおるね。その人の幸せな様子を思うだけで嬉しくなる、そんな人はおるね…「悪人」吉田作品であまりにも有名な2作を含む9作の犯罪小説集。表とは違う裏の顔。誰でも持っている多面性が窮地に追い込まれた時、その本性が現れる。加害者でも被害者にもなり得る人の怖さ、いつの時代も真っ当に生きることの難しさ。それでも大事な人さえいれば、人間何とかなるのかもしれない。産まれながらの極悪人なんてこの世界にはいない。2020/03/17
キムチ27
59
5つの短編、1つの中編と2作が長編。「さよなら・」「悪人」は既読だが再読すると7年前読んだ印象と異なる視点を愉しめた。これでもかと言わんばかりの悪の描写、人間の弱み 翻っての居直厭味。弱い存在のくせに 罪悪感に裏打ちされる虚実のふてぶてしさを炙り出す筆致は凄い。短編はどれも「悪というより若さゆえの」暴走、無謀という感が強かった。「元職員」は題名で損している感じ。なかなかいい仕上がり、タイのソープ事情を濃厚な具象的描写で仕上げている。公社職員のつまみ食いの流れを 薄笑い浮かべつつドラレコで鑑賞している感覚2020/06/26
ヒデミン@もも
43
読んだぞー!って叫びたくなるほどの読了感。吉田修一さんって、やっぱりすごいと思わせる。でも、なぜ『ランドマーク』が最初? その答えは巻末の自伝小説にあった。再読の『さよなら渓谷』は何度読んでも切ない。『元職員』という堅いタイトルに似合わない脂っこい話も良かった。2020/03/04
テクパパザンビア
26
面白かった。流石の吉田修一って感じ。『さよなら峡谷』と『悪人』は映像で見たから後回し。元職員とランドマークが良かった。貞操帯、公金横領、下宿、痴漢、韓流、人生色々ですねー。私もタイに行ってミントみたいな娘と楽しみたいなぁ…。2020/10/28