出版社内容情報
意外な当て逃げ犯、文豪同士の喧嘩、病床の夫が呟いた言葉の意味。編集者の娘が職場や本の中で出合う謎を父が解く、好評シリーズ。
内容説明
日常の謎も文豪の謎もコタツ探偵が名推理!父と娘の名探偵コンビ日常と本の謎に挑む!お父さんの推理が冴える8篇!
著者等紹介
北村薫[キタムラカオル]
1949年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。高校で教鞭を執りながら執筆を開始。89年『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞受賞。2006年『ニッポン硬貨の謎』で本格ミステリ大賞(評論・研究部門)受賞。09年『鷺と雪』で直木賞受賞。アンソロジーやエッセイ、評論などにも腕をふるう「本の達人」としても知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 4件/全4件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
314
北村薫は、新作中心に読んでいる作家です。中野のお父さんシリーズ第二弾読みました。二番煎じ感は、否めませんが、ほんわかミステリ?楽しめました。オススメは、「『100万回生きたねこ』は絶望の書か」だにゃあ(=^・^=)2019/04/26
紅はこべ
202
南洋一郎『クオレ』『時の娘』など子供の頃や現在の愛読書がたくさん出てきて嬉しい。好きな作家と共通の読書体験があると知るのは喜び。クオレのあの話は「少年筆耕」の題で覚えている。「ちゃんの看病」という話も好きだった。ピーターラビットの好物は人参じゃなくてラディッシュじゃなかったっけ。バスは通ったのかの犯罪(?)のトリックは『夜の蟬』の「朧夜の底」のトリックのヴァリエーション。「粗筋や結論だけ知っても、読んだことにならない。大事なのはむしろ、無駄なこと、本論以外のところにある」お父さん、ナイス! 2019/12/10
ひさか
173
オール讀物2016年5月号〜2018年12月号に掲載された、縦か横か、水源地はどこか、ガスコン兵はどこから来たか、パスは通ったのか、キュウリは冷静だったのか、『100万回生きたねこ』は絶望の書か、火鉢は飛び越えられたのか、菊池寛はアメリカなのか、の8つの連作短編を2019年3月文藝春秋から刊行。本にまつわる謎がマニアックで凄い。お話に出てくる作家さんと編集者のお付き合いは、今でも、売れっこ大御所だとそうなのかと、あらためて考えてしまいました。2019/06/30
修一朗
159
中野のお父さんが解く文学の謎は,芥川や太宰といったメジャーどころの蘊蓄というよりはよりニッチな文学エピソードの数々だ。基本的には「ふーんそうなの」的に楽しめる。こんな細かい過去の記事から話を創りあげる北村薫先生も凄いけれども,昔の作家さんのこんな細かいエピソードが文章に残っていることも凄いと思う。今以上に昔の作家さんは芸能人に近いポジションだったのだね。無理筋じゃねというのもあったけどもおおむね楽しめました。お気に入りは松本清張の盗用疑惑を扱った「水源地はどこか」。。2019/05/31
のぶ
152
「中野のお父さん」シリーズの続編で、話の流れは前作を踏襲しているので、大きな変化はないが、本作も楽しい本だった。6つの話が入っているが、それぞれに込められている何気ない謎に北村さんの文学への愛情が溢れていて、本好きの人にはたまらない作品集だと思う。裏を返せば謎の内容は人によってはどうでもいいものだと感じるかもしれない。しかしその小さな部分にこだわって、一冊の本に纏めてしまうのが北村さんの凄さだと思った。文章は軽く内容は深い。この先もシリーズが続いて欲しいと思わせてくれた本だった。2019/04/15