知性は死なない―平成の鬱をこえて

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  • サイズ B6判/ページ数 292p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784163908236
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

出版社内容情報

私を育てるとともに、追い詰めた「平成」の思潮とは何だったのか。「知」はどうあるべきか。自身の体験とともに綴られた、待望の書!世界史の視野から、精緻に日本を解析した『中国化する日本』で

大きな反響を呼んだ筆者。一躍、これからを期待される論客と

なりましたが、その矢先に休職、ついには大学を離職するに至ります。

原因は、躁うつ病(双極性障害)の発症でした。

本書では、自身の体験に即して、「うつ」の正しい理解を求めるべく、

病気を解析し、いかに回復していった過程がつづられています。

とともに、そもそも、なぜこんなことになってしまったのか、と

筆者は、苦しみのなかで、自分に問いかけます。

ーー自分を培ってきた「平成」、その30年の思潮とは何だったのか。

いま大学は、「知性」を育む場となりえているのか。

喧伝される「反知性主義」は、どこから始まったのか。

なぜ知識人は敗北し、リベラルは衰退したのだろうーー

一度、知性を抹消された筆者だからこそ、語れることがあるのです。

病を治すのも、また「知」なのだ、と。

これから「知」に向かおうとするすべての人に読んでほしい、必読の一冊です。

與那覇 潤[ヨナハ ジュン]
著・文・その他

内容説明

平成とはなんだったのか!?崩れていった大学、知識人、リベラル…。次の時代に、再生するためのヒントを探して―いま「知」に関心をもつ人へ、必読の一冊!

目次

はじめに 黄昏がおわるとき
平成史関連年表 日本編
第1章 わたしが病気になるまで
第2章 「うつ」に関する10の誤解
第3章 躁うつ病とはどんな病気か
平成史関連年表 海外編
第4章 反知性主義とのつきあいかた
第5章 知性が崩れゆく世界で
第6章 病気からみつけた生きかた
おわりに 知性とは旅のしかた

著者等紹介

與那覇潤[ヨナハジュン]
1979年生。東京大学教養学部卒業、同大学院総合文化研究科博士課程をへて、2007年から15年まで地方公立大学准教授として教鞭をとる。博士(学術)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

63
双極性障害を発症した大学教員の書いたうつ病体験、アカデミズムを担うべき大学への批判、知性が崩壊していく世界への憂いなど雑多な思いが盛り込まれている、いわば日本社会にはびこる反知性主義への批判の書でもある。とはいえ、うつ病の話は教科書レベルの解説にとどまっていて当事者である著者の内面には降りてこないし、大学教員一般の知性の退潮を憂いているので(委員会制度や教員の伝書鳩化の内容は面白いが)、愚痴っぽい感じが否めない。2018/05/20

ころこ

43
双極性Ⅱ型を発症した著者が大学の職を失い、回復して本書を出版するまでに至った体験記です。単なる追想録でなく、学術的な知見を活かした当事者研究といえるものです。著者は前半で、言語と身体の二元論を考察し、自分は言語派だといいます。本書を読んだ限りにおいて、確かに著者は、普通の人がスルーするところで思考し立ち止まり、段取りや分類を徹底的に言語化するなど、文字通りの言語派のようです。少なくとも、身体のコミュニケーションを行ったり、過剰に動き回ることで非効率な段取りを克服したりするタイプでないことは確かです。発症の2019/05/15

おさむ

42
そう鬱病を患った歴史学者の闘病記と社会評論が混在する珍書。病を体験して思考法が変わった(とりわけ反知性主義へのスタンス)ことを伝える為だと思うが、一つにする必要はなかったのでは? 与那覇さんの評論は柔らかく視点が面白く、正直こちらだけで書いて欲しかったなぁ‥。大国のインテリが言葉による普遍性で作った世界秩序が、身体的な反知性主義により瓦解しようとしている。米ソ両帝国の崩壊の構図をベースにして、EU、かつての日本、トルコやイランまでも洞察する流れはお見事です。2020/07/15

いろは

38
うつ病の私からすると、『「うつ」に関する10の誤解』の項目の『うつ病は「意欲がなくなる」病気である』という誤解は誤解で、うつ病は意欲がなくなる病気である。だから、この作品は、著者が躁うつ病であるのと、色々と参考文献を調べながら述べていることの他に、同じ病気の人も、そうでない人も、症状は一人一人違うことを踏まえて読む方が良いと思う。もちろん、うつ病に関することの他に、知性、反知性主義、大学、平成時代がテーマの作品なので、単にうつ病についての作品よりかは、こちらの方が面白いと思う。反知性主義をもっと知りたい。2018/07/04

禿童子

38
与那覇潤の著書には随分親しんでいたが、双極性障害を患って大学を辞めていたことは知らなかった。病との葛藤について冷静だが生々しい体験談に息を呑む。医者との受け答えすらできない思考能力の低下。病を得たことによって、平成という時代全体を俯瞰する視点が生まれたという逆説。リベラルの敗北と反知性主義の蔓延について述べた本は山ほどあるが、反知性主義は「反知性-」ではなく「反正統主義」と解釈すべき、「コミュニズム」は共産主義ではなく「共存主義」として蘇らせるべきと説くのは与那覇らしい切れ味を感じる。今後も注目したい。2018/06/15

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