内容説明
すべての作品をリアルタイムで観てきた作家が読み解く映画と時代。最もストイックでヴィヴィッドな視線を黒澤に投げかける。
目次
「姿三四郎」で戦時下に登場
「一番美しく」と「續 姿三四郎」
民主主義って何だ?―「虎の尾を踏む男達」と「わが青春に悔なし」
「素晴らしき日曜日」と無名の新人
「酔いどれ天使」―同時代性の衝撃
「静かなる決闘」と「野良犬」の陶酔
「醜聞」、「羅生門」と宮川一夫
幻の秀作「白痴」
余裕と話術の傑作「生きる」
「七人の侍」の明暗
「生きものの記録」をどう観たか
技巧の極致―「蜘蛛巣城」と「どん底」
「隠し砦の三悪人」と「悪い奴ほどよく眠る」の狭間で
「用心棒」と「椿三十郎」の微妙な差
文句なしに面白い「天国と地獄」
「赤ひげ」は“集大成”か
「どですかでん」までの悪路
「デルス・ウザーラ」と幸運
「影武者」と「乱」―三船のいない戦国絵巻
三つの小品―「夢」「八月の狂詩曲」「まあだだよ」
テクニックと“言いたいこと”
著者等紹介
小林信彦[コバヤシノブヒコ]
昭和7(1932)年、東京生れ。早稲田大学文学部英文学科卒業。翻訳推理小説雑誌編集長を経て作家になる。昭和48(1973)年、「日本の喜劇人」で芸術選奨文部大臣新人賞受賞。「丘の一族」「家の旗」などで芥川賞候補。平成18(2006)年、『うらなり』で第五十四回菊池寛賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サトシ@朝練ファイト
33
東京五輪を黒澤明が撮ってたらね。久しぶりに小林信彦の本を読んだ。2015/07/15
ヒデキ
7
黒澤監督作品を作者自身のリアルタイムの思い(鑑賞記録として)をメインにして捉えています。私のような再上映やビデオでしか見たことのないものにとっては「成程」と思わせることがたくさんありました。しかし、その時代を知らないものとしては「なんでこうなるの?」と思ってしまうこともありました。2020/01/22
ぐうぐう
6
志ん朝や横山やすしなどの芸人論もそうだが、小林信彦の場合、自分が直接観たり体験したことを柱にして語るゆえ、それはその人物の人生を網羅した完全な評伝にはならない。しかし、リアルタイムな小林の感想は、当時の世相の匂いも漂わせながら、なんともいえぬ臨場感がある。映画は生き物であるという前提に立った黒澤明論は、小林信彦という一観客の眼を通して、時代と共に活写されることで、とても新鮮に、そして生々しく伝わってくる。2009/10/06
かみーゆ
4
小林信彦は超久しぶり。たまたま古本市で見つけたのです。そうそうこんな感じだった。“私的”なんだよねーどこまでいっても。まあそれが好きで読むんだけどさ。これまでの黒澤映画の評価を覆すような新しい視点とかは一切なかったですけど、ふむふむと頷きながらするする読めました。僕はデルス・ウザーラ好きなんだけどな。高齢者の居場所、生きがい探しというテーマは今こそ再評価されるべきだと思うの。2020/10/29
さざなみ
3
「黒澤明に限らず、映画は封切られた時に 観なければ駄目なのだ。」 と、最終章に述べられているように、今この歳になってからDVDで見ているようでは遅すぎるが・・・・ 偶然、今夜BSプレミアムで「天国と地獄」が放映される。 録画して暇な時に観ようと予約した。2019/08/19
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