出版社内容情報
事件はすぐれて時代を映す鏡だ。87’~88’年の46の事件を俎上に、そこに潜む日本人の素顔と時代風景を見事に抉った事件コラム傑作集
内容説明
ニュージャーナリズムの旗手が、44の事件から「繁栄の時代」の様々なねじれや歪みを、鮮やかに焙りだした卓抜なドキュメンタリー・ルポ!「時代の素顔」が見えてくる。
目次
1章 事件を見にゆく(豊田商事裁判特号法廷のビジネス・スーツ;都会の山に住むコソ泥の人間嫌いと焼豚好み;たかが台所洗剤で狂いだした自販機ワールド ほか)
2章 繁栄を見にゆく(大阪の主婦の仕事が太平洋の彼方に消えていく;郷ひろみの結婚式に漂うある終焉の気配;怒号と厳重警戒のなかで休息するソ連漁船員 ほか)
3章 政治を見にゆく(竹下登というぬいぐるみを1人占めする男たち;元首相の犯罪を裁く法廷には眠気が漂っていた;あなたは岸元首相を見たことがありますか ほか)
4章 ハイテクを見にゆく(ビデオが一部始終を撮影していたホテルの男女惨劇;きょうもフェイルセーフのおとぎ話が空を飛ぶ;コンピュータのなかのあなたを盗んだ男の罪 ほか)
5章 故郷を見にゆく(夫が銀行から奪った金を返すため、妻は走った;大人の健全な遊びを邪魔するテレクラの少女たち;東北新幹線が連れてきた性病クラミジア ほか)
6章 青春を見にゆく(ミス東京に応募した23歳OLの東京物語;騒々しいスピーカーと右翼青年の生い立ちと苛立ち;中年男ビートたけしを惹きつけた少女の足首;ミック・ジャガーのステージに重なる永野一男の幻影 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ささ
0
■豊田商事事件に始まり、永野一男で終わる。44の事件を10ページ程度で取り上げたもの。豊田商事事件やロッキード事件の傍聴あり、テレクラの体験あり、郷ひろみの結婚式の観察あり、墓地改装公告の地の訪問あり、と事件の大小は様々。豊田商事のセールスマン&ウーマンの裁判傍聴の件、窓から見える青函連絡船がその店(いかり)の名物だった件と、テレクラの実体験が興味深かった。テレクラの件は、毎回お金を払うのが惜しくて、とうとう自宅の電話を書いたチラシをわざわざ作って配布、女性からの電話を待っていた、という人の話が面白い。2014/02/22