出版社内容情報
京の都で起こる怪しく妖しい事件に、お馴染み若き陰陽師・安倍晴明と横笛の名手・源博雅が挑む人気シリーズ最新作。全8篇を収録。
内容説明
蝉丸にとり憑いた妖女の正体は?晴明の呪、博雅の笛とともに平安の闇を祓う蝉丸の琵琶。盲目の法師の哀しい過去がいま明かされる―。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
れみ
106
安倍晴明と源博雅の登場するシリーズ10作目。今回は蟬丸さんの出番が多い巻だったなあ。琵琶の音と笛の音が聴こえてくるよう。このなかでは「器」「逆髪の女」「ものまね博雅」が好き。2015/08/14
文庫フリーク@灯れ松明の火
71
雲がまばらに残る空、中天には満月。灯りをひとつだけ点し、簀子の上に座して酒を酌み交わす清明・博雅・蝉丸。清明屋敷の庭は菊や竜胆咲き乱れ、さながら秋の野の如し。酒の瓶子を運ぶは蜜夜。嫋嫋と響く蝉丸の琵琶。合わせて夜気の中にほろり、と滑りだす博雅・葉二の笛の音。飛び入りの霹靂神が踊り叩く鞨鼓の音。酒はもちろん、この雅楽のご相伴にあずかりたいものです。登場して久しい盲目の蝉丸。つれなくした女の恨みから、藁人形の両眼にひときわ太い釘を打ち込まれ、盲目となった蝉丸の過去話。「心はやれぬが生命は→続く2012/08/07
えみ
63
安倍晴明にとっての源博雅。源博雅にとっての安倍晴明。お互いの必要性、無二の親友。怪事と向き合う時とは違う、冒頭と末尾で繰り広げられる二人の穏やかな会話を読むとホッとする。平安時代の雰囲気を主張しないながらも色濃く浮かび上がらせ、その中での禍々しい異形との遣り取りは何度読んでも面白い。8篇収録の短編集。今回は晴明と博雅の知人、盲目の琵琶法師・蟬丸の過去も明かされる。博雅の笛と蟬丸の琵琶、それを土御門の晴明の屋敷の庭を愛でながら聞きたい!それにしても博雅はよく怪事に巻き込まれる。人たらしならぬ異形たらしかも。2021/09/26
tama
46
再読です。時間が経っていたのでほぼ初見の感覚。作者の語り口は陰陽師と投竿翁がとてもよい。2012/07/19
Rin
33
【図書館】久しぶりの陰陽師シリーズ。今作は蝉丸さんの登場回数がおおめ。そして安定の雰囲気でした。女の嫉妬や恨み、妬みの怖ろしさ。そして土地に眠る強い思いがもたらす怪奇。さまざまな問題がおきるのだけれど、博雅の存在が救いのように感じます。博雅の一言ひとことには読んでいるこちらもはっとさせられます。確かによい漢です。神さまや妖たちに一目置かれ、気に入られるのがとても良くわかる本でもありました。2015/07/07