内容説明
夫が単身赴任中の専業主婦。ブサイクな出張ホストと密会を繰り返す彼女の本当の望みとは…(『六日間』)。会社社長と長年、愛人関係を続けている育美。社長の妻を見舞う毎日で見つけたのは…(『愛のくらし』)。48歳の画家・鮎子。今は年下の彼とは別の男との情事に夢中。ただ、すぐ飽きてしまうのが常だった…(『猫をつれて』)。犬の散歩で偶然出会った若い男。怪我をした由未子の生活に入り込むが…(『バッドボーイ』)。定年退職間近の布沙子。愛人関係に区切りをつけ、苦手な後輩とも対決。そして、もう一つ「完璧な退職」のために計画してきたことが…(『パーフェクト・リタイヤ』)。オーバー40の女性たちの心情を鮮やかに描いた傑作短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Lara
58
短編小説5作集。中年女性たちが、それぞれの生き様で考えて生きて行こうとしている。「パーフェクトリタイア」では、退職後の生活を完璧に計画するが、果して上手く行くのか?読み易いが、有りそうに思えるが、やっぱり普通ではない女性達の人生。2024/11/03
吾亦紅
34
人生の冬を迎え入れようとしている女性が主人公の短編集。「穏やかだけど孤独で、孤独だけど幸せで、幸せだけどさみしい。そのさみしさをうめるものはない」という描写がさみしく、でも温かく響いた。どの主人公の生き方も、自分には受け入れられないものだったり、遠く隔たったものだったけれど、自分もこうであったかもしれないし、ひとの生き方を断じたくはないと思う。それというのも、明日なにがあるかわからない、ささやかな日々が突然損なわれることを知ったからかもしれない。2020/02/10
クリママ
33
短編、5編。リタイアを意識した40~50代女性の私生活。諦念、もしくは、突拍子もない人生後半の計画。共感もできず、示唆も与えられず、ドキドキすることもなく。さらさらと読了したけれど、ちょっと時間がもったいなかったかな。藤堂志津子は、たぶんこれで3冊目だけれど、特に印象に残ったものがなく、残念ながら、良さがわからない。もう1、2冊読んでみよう。2015/11/12
けいこ
31
40代後半から50代、60代に入った女性たちの短編集。諦め、打算、そして少しの期待を纏う年代の女性たち。●惨めな過去から裕福な家の妻になった女性。今の望みは、、『六日間』●不倫相手の妻が残したものは、、『愛のくらし』●性に奔放な女性。同棲相手と飼い猫を病気で亡くし1人残されて、、『猫をつれて』●優しくしてくれた男性の正体は。それに気付いた時、、『バッドボーイ』●定年後のプラン作成に10年掛けた女性。いよいよその時が、、『パーフェクト・リタイヤ』。共感できる女性はいないけれど、同年代で身につまされた1冊2022/12/13
あつひめ
31
40半ばから徐々に自分の老い先は見えてくる。見えてくるけど見えたままにはしておきたくない・・・と言うのが女心なのでしょうか。心の隙間を埋めるものはやはり男でありペットであるのか・・・。主人公達がみな若くて眩しい時代を不完全燃焼のように燃え尽きる事ができなかった人たち。気持ちを共有する事は残念ながらできなかったけど、その時ごとに燃え尽きる事が大切なような気がした。女は一生女で居たい。それは不倫やSEXまみれと言う意味ではなく心が女であり続けたい。反面教師のような小説を読ませてもらった気がする。2011/01/13