高丘親王航海記

高丘親王航海記

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  • サイズ B6判/ページ数 234p/高さ 21X15cm
  • 商品コード 9784163098401
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

幼児からエクゾティシズムの徒であった親王は、占城、真臘、盤盤、魔海を経て一路天竺をめざす。夢と憧れ、怪奇と幻想のアラベスク

目次

幼時からエクゾティシズムの徒であった親王は、占城、真臘、盤盤、魔海などを経て一路天竺をめざす。夢と憧れ、怪奇と幻想のアラベスク。死の予感に満ちた遺作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆーり

20
読み友さんのご紹介。歴史物ことにこの時代は無知なので、高丘親王と藤原薬子、薬子の変を改めてWikiで調べてから読む。でも歴史ものと言うより幻想譚?全体に流れる耽美感。諸国の時の情勢など、ある程度の史実に沿ってはいるんだろうけど、夢と現が入れ子になり、旅を進めるほどに薬子の影響が濃くなっていく。親王の夢の中にまで夢となって現れる。時には鳥となって旅路に付き添う。果たして本当に彼は虎と一緒に天竺に行けたのか。魂は日本に戻れたのだろうか。後を追った迦陵頻伽の鳴き声は、彼に届いたのだろうか。2022/02/27

浮遊

12
澁澤熱が再燃して数年ぶりに再読。帯に書かれた「死の予感に満ちた遺作」という文言。当時読んだ時はそのまま受け取り『真珠』は、ああ…となっていた記憶があるけれど、澁澤展に行き草稿や創作メモを実際に見てから再び読んでみると生に、多幸感に満ち溢れていることに気付いた。入れ子構造になった夢、初めて踏み込む異国で出会う極彩色で面妖な世界、散りばめられたエピソードはどれも幻想的で浸ってしまうと中々抜けだせない。今回はその根底にある生と死の情感の一端に触れられたような気がした。5年後に読んだらわたしはどう感じるのだろう。2017/12/10

ノベツ

8
渋澤龍彦初読み。小難しい古典調の文章にカタカナ英語やメタギャグを入れ込んでくる楽しいファンタジー。還暦を過ぎたお爺ちゃんが天竺を目指し東南アジアで遭難しまくる。ジュゴンが喋ったり、迦陵頻伽の娼館があったりと、毎話予想を超えてくるのが凄い。ラストはホロリときた。また、丁度、近藤ようこの漫画化が始まっており、違和感がなさすぎて笑ってしまった。これも楽しみ。2019/09/18

アイカワ

8
ああ、読書の快楽ここに極まれり。。箱本版を買ったのだけど、一度箱にしまったら最後魔法が解けてしまうような気がして、読んでる期間ずっと本だけ剥き出しで枕元に置いていた。幻惑的で淫靡で、そのくせ、随所に散見される鳥のイメージのように軽い。淡々とした三人称と現象を現象のまま置き去りにするさらりとしたストーリーのおかげ。酔っている自分を脇目に見た、冴えた陶酔だった。ある意味とてつもなくクールな本。いや、面白かった。。。2016/02/03

ヒツジ

6
澁澤龍彦の小説を読むのはこれで2作目。だが『夢の宇宙誌』、『胡桃の中の世界』、『思考の紋章学』といったエッセイを読んできたからこそ面白く感じる部分があって嬉しかった。今まで澁澤がエッセイとして論じてきた夢、鳥、廃墟、珠、輪廻転生、円環、性、ドッペルゲンガー、といった題材が夢幻的な物語の形をとって描かれている。前半はユーモア溢れる奇譚として進行するが後半は死の香りが濃厚になってきて、最後の親王と姫のやりとりは静謐ながらも感極まってしまう。澁澤の遺作にして最高傑作とされるのも納得。2013/08/06

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