出版社内容情報
仙台フィル、八軒中学吹奏楽・合唱部、小山実稚恵、MONKEY MAJIKなど演奏者、被災者の双方に丹念な取材を重ねた渾身の書「音楽の都」仙台、知られざる復興の記録。
そこに音楽があったから、立ち上がることができた――。仙台フィル、八軒中学吹奏楽・合唱部、小山実稚恵、MONKEY MAJIKなど演奏者、被災者の双方に丹念な取材を重ね、音楽が持つ力を見事に実証。今後の文化行政に一石を投じる、渾身のノンフィクション。
〈目次〉
第一章 明日という日があるかぎり――仙台市立八軒中学校吹奏楽・合唱部
第二章 鎮魂のために奏でる――仙台フィルハーモニー管弦楽団
第三章 余震の絶えぬ街角、そして被災地へ――仙台フィル・街角コンサート
第四章 音楽家たちの試行錯誤――MONKEY MAJIK / 小山実稚恵さん
第五章「楽都仙台」の多彩な顔――定禅寺ストリートジャズフェスティバルや仙台国際音楽コンクールなど市民がつくる音楽祭
第六章 「音楽の力」はあるのか――とっておきの音楽祭など
第七章 未来へ――みやぎの「花は咲く」合唱団 / 小田和正さん
梶山 寿子[カジヤマ スミコ]
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chantal(シャンタール)
67
2011年のあの震災の時、私は日本にいなかった。だから音も灯りも街から消えた日本を知らない。でも自粛自粛で息が詰まるような毎日だった事は想像に難くない。そんな中、被災地で、被災者と、音楽がどう関わって行ったのか。とても興味深く読んだ。確かに多くの命が失われ、明日の生活もままならない人たちが多くいた中「音楽なんて何の役にも立たない」と思う人はいただろう。でも、音楽が欲しい人もいたのだ。「パンのみにて生くる者にあらず」どん底にいる時こそ文化的な物に触れたい、それが人間ではなかろうか。音楽の力を改めて感じた。2024/07/14
あやの
27
震災の直後から演奏を始めた仙台フィルの活動は、テレビでも取り上げられていた。みんな涙を流しながら聴いていた。仙台フィル、八軒中、小山実稚恵さん、MONKEY MAJIKなどの活動や取材が丹念にされていて、さらに被災者側の声もしっかり描かれていて、素晴らしいルポだと思う。音楽は心を救うと私も思う。でも、こちらから押しつけてはならないものでもある。ふと耳に入ってきた音楽が、疲れた心を包む。そういうものだと思う。そして、仙台市はまさに「楽都」!郡山市も自称しているが、仙台に比べたらまだまだ。2018/01/14
呑司 ゛クリケット“苅岡
1
俺に優しいのは音楽と酒だけ と常日頃から嘯いている私だが、実際に震災を体験すると今更ながら全てが終わってしまったとう感覚を思い出す。生き残れたことを実感するのには更に数ヶ月、水道、電気、ガスとインフラが復活しても、何名かの知人は別れの挨拶も無しに会うことが叶わなくなった。人それぞれの体験があり記憶が残るが、それは生きている限り持ち続けて行かなければならないモノだ。また、3月11日はやって来る。2022/03/06
颯
1
震災から10年だからというわけでもなかったけど、図書館の「災害」の棚を眺めていて見つけた。東北と音楽を愛する者として、もっと早く読むべき本だったな。コロナ禍でオケができなくなって久しいので、この本を読んでほんとうに元気が出た。「人はパンのみにて生くるに非ず」。2021/03/02
もずく酢
1
音楽があってもなくても人は生きていくのかもしれないが、つらいとき、大変な時、心にすっと入れるのは「音」なのかもしれない。 人の心をうつ音楽を奏でられ、その力を人助けに使える方々を尊敬する。2018/06/08
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- 和書
- 遊廓の少年