出版社内容情報
一九九二年、東フランスの錆びれた町。外の世界を求める十四歳のアントニーは、盗んだカヌーでたどり着いたビーチで少女と出会う。その出会いは彼の世界を一変させた......かつて製鉄で栄えた「限界都市」に生まれた少年の八年間の青春を描く、ゴンクール賞受賞作
【目次】
内容説明
1992年、東フランスの田舎町。かつて製鉄業で栄えた街は見る影もなく錆びつき、14歳のアントニーは、変わらない毎日のなかで外の世界を求めていた。ある日、盗んだカヌーで辿り着いたビーチで地元の有力者の娘ステファニーと出会う。そのとき、今まで知らなかった世界が広がって見えた。ニルヴァーナに心をあずけた1992年の夏から、ワールドカップに熱中した1998年の夏まで。繰り返される夏の陽射しのなかでアントニーは恋に翻弄され、親との距離に悩みながらも自分の居場所を探し続ける―。産業の衰退とともに見捨てられた地域の閉塞感と、そこに生まれ、社会に取り残されていく人々の痛み。「忘れられた街」の現実を克明に描いたゴンクール賞受賞作。
著者等紹介
山木裕子[ヤマキユウコ]
一橋大学社会学部卒。翻訳家。訳書に『不成仏霊少女』花輪和一のフランス語訳『La fille fantome』(共訳)がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
特盛
29
評価3.7/5。ゴンクール賞受賞作品。1978年にフランスの衰退する地方の街で生まれた主人公を中心とした青春群像劇。フランス版ヒルビリー・エレジー的。主人公と読者である自分が同世代故に国は違えど共感できる心模様の移ろいは多数あった。主人公だけでなく、その親の視点での人生の移ろいも描かれ、立体的な作品だ。人生に訪れる不可逆な変化の数々。2年やそこらが経つごとに毎回がらりと様変わりしてしまう世界。過ぎ去ったあの日は一体どこに行ってしまったのかなと思う。2025/11/03
おだまん
9
寂れゆく街の閉塞感。その寂寥感は日本にもあると思う。それでも未来を期待するのが青春時代というもの。これは一つの街の話だけど、世界が明るい方に向かいますように。2025/08/22
Maumim
2
フランスの田舎の裏ぶれた街の少年たちが大人になるまでの数年間の日々。自身も親も周囲も、少しずつ状況が変わっていく。アントニーはステフと結ばれることはなく、アシーヌともう一悶着あるかと物語の終盤に思わされたけれど。静かに結末を迎えた。2025/09/22
-
- 和書
- 東京ロック・バー物語




