出版社内容情報
K県見幸市を統治する佐久間種苗を襲った細菌テロは、100名超の研究員を殺害する。事件を追う高層民のコチ、国境警備隊の来未、元刑事の尾藤の前に立ち塞がる「アブソルート・コールド」とは?『プラ・バロック』の著者が、令和日本に放つサイバーパンク巨篇
内容説明
生命工学と情報技術を独占して見幸市を統治する大企業・佐久間種苗を襲った細菌テロは、百名超の研究員を殺害する。市境警備隊から微細走査官に異動した来未由は、ABID(アブソルート・ブラック・インターフェイス・デバイス)によって遺体の心象空間を走査、事件直後の現場の様子を調査していく。また佐久間種苗の内情を探る元刑事の尾藤は、テロの背景に人工知能にまつわる機密の存在を知る。一方、高層民の少女コチが所属する電気連合組合から命じられたのは、テロで命を落とした組合員から或る記憶装置を回収することだった。『プラ・バロック』『躯体上の翼』の著者が、令和日本に放つサイバーパンク巨篇。
著者等紹介
結城充考[ユウキミツタカ]
1970年、香川県生まれ。2004年、『奇蹟の表現』で第11回電撃小説大賞銀賞を受賞して、デビュー。08年、『プラ・バロック』で第12回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タックン
61
結城さんお得意の無機質な世界のSF小説。映画のブレードランナーとかマトリックスの世界。 バイオに人工知能とか情報化社会。 コロナ禍の3年で急に変化して顕在化してきたワクチンとか5Gとかマイナンバーとかの用語を見ると、この小説の世界へと徐々に進んでいく感はある。 でも無機質過ぎて哀しい世界。 正直、難し過ぎてよくわからなかった。特に人工知能とか(デュポン計画)とか。2023/07/13
rosetta
35
★★★★☆かなり濃厚で自分にとってはリーダビリティが良いとは言えない文体で読了まで時間がかかってしまったが決して嫌いな訳では無い。世界観はブレードランナーを想起させる、市民に階層があるディストピア。高層ビル群の屋上にバラックを建て商店まで作って暮らしている下層市民。見幸市は巨大企業佐久間種苗(遺伝子組み換え作物から始まり生命工学、AI技術を独占)に支配されている。隣接するK県から不法に移民しようとする市民をバンバン射殺している。陰謀とネット空間での生命、市警と企業の主導を巡る確執。サイバーパンクの傑作2023/07/12
ぽてち
29
AIが支配する荒廃した未来を舞台にした長篇SF。見幸市を牛耳る大企業でAIの開発元でもある佐久間種苗をバイオテロが襲う。死者の記憶を走査する技術・ABIDの捜査官に任命された来未は、身元引受人のコチが遺体から何かを取り出すのを目撃する。参考人としてコチを追った来未だが謎の狙撃者に襲われ、コチは負傷してしまう……。サイバーパンクの深化系とも言える作品で、AIやらサイボーグやらといったガジェットがてんこ盛りだ。キャラクターの心理が今一つ理解できない部分もあったが、なかなかスリリングな展開で愉しめた。2024/01/07
本の蟲
12
企業が統治する未来都市を舞台にしたサイバーパンク? 屋上スラムを根城にする「高層民」。遺体の死に際の記憶を読み取れる新技術。経営方針を決定する超AI等、好みのガジェット山盛りなのだが、全く面白くなかった。特に構成に難あり。メイン3人の視点が次々切り替わるが、終盤での加速も緊迫感もなし。一人は丸々削除しても話が成り立つ。情報が錯綜している状態を描きたかったかもしれないが、錯綜ではなく出来事を並べただけの印象。登場人物の言動にも終始違和感がつきまとう。前々から気になっていた作者だが、もう手に取ることはなさそう2023/07/19
りちゃ
8
そうそう、この色のない、太陽が似合わない感じ結城作品だ(勝手にそう思っている)。主人公のコチがただ者ではない感じを見せてくる。何でこんなに賢いのかと、単純に驚いてしまう。何をもって生存しているというのか。この世界での幸せって、何なのだろう。2023/06/25