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ケリー・ギャングの真実の歴史

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  • サイズ B6判/ページ数 526p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784152085238
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

19世紀、オーストラリア。貧しいアイルランド移民の子ネッド・ケリーは、幼いころから獄中の父にかわり、母と6人の姉弟妹を支えてきた。父の死後、母はネッドを山賊ハリー・パワーに託す。だがそのせいで、ネッドはわずか15歳で馬泥棒の共犯容疑で逮捕されることになった。出所したネッドは、美しい娘メアリーと出会い恋に落ちるが、ようやくつかんだ幸せも長くは続かない。横暴な警察は、難癖をつけてはネッドや家族を投獄しようとしてくる。いまやネッドと弟のダン、二人の仲間たち“ケリー・ギャング”は、国中にその名を轟かすおたずね者となっていた。あまりの理不尽さに、遂にネッドは仲間と共に立ち上がるが…。死後百年を超えてなお人々を魅了しつづける実在のヒーローの真実の姿を、彼がまだ見ぬ娘へ綴った手紙を通して描く感動作。ブッカー賞、コモンウェルズ作家賞受賞作。

著者等紹介

ケアリー,ピーター[ケアリー,ピーター][Carey,Peter]
1943年、オーストラリアのヴィクトリア州メルボルン近郊生まれ。モナーシュ大学で有機化学と動物学を専攻。その後、メルボルンの広告代理店でコピーライターの仕事につき、文章修行を始める。1974年に短篇集THE FAT MAN IN HISTORYでデビュー。『オスカーとルシンダ』(1988)につづき、2001年に『ケリー・ギャングの真実の歴史』で二度目のブッカー賞受賞、コモンウェルス作家賞受賞の栄冠に輝いた。その他の作品に『イリワッカー』『ジャック・マッグズ』などがある。いずれも登場人物たちの人生を描きながら、その背後にオーストラリアの歴史まで透けて見えるような「歴史を再構築したスケールの大きさ」が持ち味である。1989年より妻と二人の息子と共にニューヨークに暮らす

宮木陽子[ミヤギヨウコ]
お茶の水女子大学大学院英文科修士課程修了、英米文学翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

142
ショッキングで胸を打つ映画の後に、‘based on a real story’と書かれているのを見て受ける衝撃と同じものを感じる。ネッド・ケリーはオーストラリアでは皆が知る歴史上の人物だそうだ。それを知って読めば、最初の数ページから息をのんだに違いない。オーストラリア版の開拓時代の「怒りの葡萄」であり「ブラッドメリディアン」であり、一向一揆に集まった人々の怒りや無念をはらんでいる。まさに読むべき一冊。中盤の息苦しさは頁をめくる手を一時止めはするものの、終盤のクライマックスは本当に感動する。2016/05/25

まふ

89
犯罪者の父を持つアイルランド系のネッド・ケリーが少年時代から貧困ゆえに巻き込まれる犯罪生活の中で何とか「自分自身」を確立させようと必死でもがくが叶わず、ついにギャング団を組織して銀行を襲い悪徳警官および地主階級者に果敢に迫るものの……。文章家でもあった彼の手記を「書き直した」という形式をとっており、読み込むにつれて彼の一途な精神に応援したくなる。義賊なのか単なる悪者なのか、国としてのオーストラリアの今日の発展の過程で欠かせない人物像として正視すべき歴史物語。G1000。2023/03/09

NAO

76
ネッドの家は、アイルランド系で、小規模農家で、当主の父親が犯罪者として獄中にあった。そのため、さまざまな差別を受け、土地を奪おうとする大規模農家の横暴にも苦しめられ、無実の罪をきせられた。これでは、開き直ってギャング団になるしかないのではだろうか。警察や政府は大規模農家の側に立って差別を助長したため、このような差別はオーストラリアの各地で見られた。ネッドをリーダーとしたケリー・ギャングの一味が人々から英雄のようにみなされ、伝説として語り継がれたのは、ネッドの憤りに共感する者が多かったからだろう。2021/03/25

扉のこちら側

72
2017年271冊め。【312/G1000】どういった人の物語なのか全く知らずに読み始めたのだが、いろいろと衝撃が大きい作品だった。生まれながらにして警察に監視されるという境遇であり、彼が実際に犯した罪が当時代の階級闘争の体であったことなど、「情状酌量」という言葉が浮かんでは消えていく。訳もよい。ちなみにネッドが生き延びて大統領になる設定のSF小説があるらしいが(チャンドラー)ある意味気になる。2017/07/25

星落秋風五丈原

23
【ガーディアン必読1000冊】オーストラリアは、イギリスの流刑植民地とされた。しかし住民は必ずしも囚人ばかりではなく、開拓のためやってきた者もいた。本編の語り手兼主人公のネッドの父親レッド・ケリーは家畜泥棒による元囚人、母親エレンの生家クインもアイルランド系流刑者の一族のため、警察から厳しい監視下に置かれていた。囚人は罪を償えば、一般人として普通の生活を送れるという考えは甘い。囚人監視のために送られた軍隊が地主階級となり、土地と羊を専有して囚人を労働力として私物化した。勢い彼等は犯罪に向かわざるを得ない。2024/04/18

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