内容説明
かつて古代ローマ帝国は、人工衛星を打ち上げるほどの高度な科学文明を享受していた。だが、その没落から数百年、13世紀暗黒時代の西欧では、物質の力を行使する科学を悪とし、人間の魂は生涯に積んだ功徳によって天に召されるという信仰が支配していた。南仏トゥールーズ市の若き医師ファビアンは、放浪の科学者アルフォンスに出会ったことにより、みずからの信仰に疑問を抱く。それは、やがてコンスタンティノポリスから中央アジアへといたる、生涯を賭けた探求の始まりであった…異形の中世を舞台に、信仰と科学の狭間に世界の真実を求める者たちを描く、壮大なる叙事詩。
著者等紹介
高野史緒[タカノフミオ]
1966年茨城県生まれ。お茶の水女子大学人文科学研究科修士課程修了。1995年、第6回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作『ムジカ・マキーナ』で作家デビュー
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感想・レビュー
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猫ぴょん
17
いや~かなり苦戦したわぁ(^^; 核によって壊滅的な打撃を受けたその後のお話しなんだけど (大好物のお話しなのに) 設定が13世紀で~。 ローマ帝国の時代に滅びかけて~。 ここら辺の歴史苦手で(滝汗) 教皇とかアーサー王などなど詳しければ物語にもっと入り込めたかも。 バラバラのような物語が終盤イッキに加速するのはGOOD☆彡最初からの登場人物よりも「宝珠」がただただ悲しい。 今から数百年~数千年後の世界もこんなかも。 2021/01/31
jojou
6
かつて核兵器や人工衛星を開発するほどの科学技術で繫栄を誇ったローマ帝国が没落した後の中世ヨーロッパを舞台とした歴史改変SFの連作集。マルコ・ポーロやアーサー王伝説といった歴史ネタはもちろん、所どころで垣間見えるローマ帝国の文明の残滓や東方の文明の様子などに惹きつけられる。また、公会議が2ちゃんねる風に行われているといった遊び心もあり、盛りだくさんな内容。個人的には、謎で引っ張るミステリ的な構成がよい「慈悲深く~」が一番すき。 設定のユニークさから期待していたほどではなかったが、じゅうぶん面白かった。2021/11/19
DEAN SAITO@1年100冊
5
今年初めて高野女史の作品を知って以後読みまくってきたが、いままでで1番壮大、読了の満足感も最上。サイエンス・フィクションでとどまらないサイエンス・「ファンタジー」としてのSFというのが自分的にはしっくり2021/05/05
hanemimi
4
中世欧州歴史改変もの。好みが別れそうだけど私は好き。吹っ飛んだ設定細部の作り込みもさることながら、ファビアンというフィルターがしっかりしてるので鼻白まずに読めるのかも。2009/04/14
アキ
3
二度目ましての作家さん。 世界観からして戸惑います。 13世紀なのに、一度核戦争で滅びた世界になってます。 しかも核戦争を起こしたのがローマ帝国だったりする。 現代の世界地図は頭から追い払わないといけない。 更に、アーサー王が出てきたり、マルコ・ポーロが出てきたり ベスビオ火山の噴火まで! ヨーロッパ中世の史実を混ぜ込んでいる。 架空の世界に史実を織り込んで、更には色々な知識が ほどよく散りばめられているから厄介。 色んな意味で違和感バリバリなので、 ある意味では面白いんだけど混乱します(^◇^;2016/12/13